第21話 一方的な戦い


「あなたたちは……?」

「んーと、まぁ王都に向けてほっつき歩いてる旅の者……かな?」

「なにちょっとかっこよく言ってんのよ、ただの家出息子でしょ?」

「じゃあフィリアは家出少女じゃん!」


 バシッとフィリアに叩かれたデウスはふくれたあと、真剣な顔になった。


「じゃあ……こいつらどうしようか?」

「デウスのおかげでカカシみたいになってるんだからナイフで首切っていけばいいんじゃない?」


 ……その物騒な物言いに、フィリアを怒らせるのはやめようと思ったデウスだった。


「まぁ、全員殺すってのは賛成だな。物を強奪して女を犯すようなゴミは殺しておかなきゃな」

「えぇ、そうね。私はもしものときのために王女さまのもとにいるわ」

「あぁ、そうしてくれ。ところで」


 それでいいか?と王女に問いかける。すると王女はオドオドとしながらデウスの方をみて口を開いた。


「あ、あの……出来ればその一番偉そうだったやつは連れて帰りたいんですけど……」

「あー、出来ればでいいか?」

「はい、もちろんです……」


 言葉に元気がない。それもそうだろう。自分を守るために何人も目の前で死んでいったのだから。


「それじゃあ……」


 スパッと1人目を切る。吹き出した血は横の仲間に飛び散り、そのまま絶命した。


(うっ……)

 デウスは前世の記憶を思い出す。人を殺したら人に嫌われる……が、フィリアだけは味方でいてくれると思うと、デウスに怖いものはなかった。


「あれ……?」


 デウスはある事に気づいた。魔物を殺した時より多くの霊力が吸収出来たのだ。デウスは次から次に盗賊を倒していった。そして12人を倒し、残りは4人となったときだった。


「フィリア、これ以上霊力はたまらないみたいなんだけど……」


 それで、とデウスは続ける。


「王女さま、護衛の人から1人だけ生き返らせるなら誰がいいですか?」


 はい?とフィリアと王女が首を傾げる。


「……デウスまさか、神懸りでも使う気!?」

「あぁ、これだけの霊力があれば自分の寿命を縮めなくてもいいんじゃないかと思ってな」

「ちょっと、危険よ!!」

「あのー……」


 言い合いをしている2人に王女がおそるおそる割って入った。


「その話が本当なら、1人だけ生き返らせれるんですよね? 本当にそのようなことが出来るのでしょうか……?」

「あぁ。確証は無いが、可能性は0ではないと思っている」

「あの……王女としては命を選ぶなんてダメだとは思うんですけど……」


 王女はそう前置きをした上で1人の兵士を指さす。それは最後の最後まで王女のために戦いぬいた、貫禄のある護衛であった。


「あの人は私が生まれた時からの私の護衛をしてくれていた、私にとっては大事なおじさんのような人なんです。死んで欲しくないんです。だからもし……本当にそのような事が出来るなら……」


 手を握りしめ、震え泣きながら振り絞るように訴える王女の姿に、デウスは約束を誓ったのだった。

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