第2章 新たなる出会い
第20話 ある道中の出会い
「行ってみましょ!」
「あぁ」
デウスとフィリアは声のした方に走っていった。
2人が走った道の先。そこにはきらびやかな装飾のされた馬車とその護衛の兵士が4人、そして……そこを囲むように武装した屈強な男たちが10数人群がり戦っていた。
1人の兵士が倒れている。先ほどの声はこの者のものだろう。
「さっさと金目の物を出せよ! こんな豪華な馬車だ、金も綺麗な女も積んでるんだろ? あっはっは!!」
「そんなものは無い! さっさと立ち去れこのゴミ虫どもめ! 王女様に指1本でも触れたらぶち殺してやるからな!!」
「王女? 賢者のほうの王女はこんなところにはいないだろうから……紅眼の銀嶺と呼ばれるほうの王女のことか?」
護衛の兵士の一人が完全に墓穴を掘った。……フィリアに負けないほどのアホだと思う。
「おまっ……余計なこと言ってんじゃねぇ!!」
護衛の中で最も歳上で貫禄のある男が仲間の護衛に対し怒鳴った。その護衛は少し俯きながらボソッと謝罪したようだか、その手から剣は話さない。
「ほーぉ、そりゃ味見するのが楽しみだな! 野郎ども! 護衛を片付けて今日は楽しむぞー!」
群がっている男たちの士気があがり、兵士たちを蹂躙し始める。
「クソっ……があぁぁ!!」
「こんなところでやられてたまる……か……ゲボっ」
瞬く間に2人の護衛がやられた。残りは貫禄のある中年の護衛のみとなり、そして……その護衛の腹から剣が姿を見せる。剣にべっとりとついた血、それは自身が背中から貫かれた死を意味する血であった。
「がっ……フォルトゥナさま…………」
護衛は王女に手を伸ばした。……その手を盗賊に剣で貫かれると、護衛は地面に縫い付けられたように息絶えた。
「フィリア、あれって……」
「聞いた感じ王女様が乗ってる馬車に盗賊たちが襲っているみたい! 早く助けなきゃ!!」
「あぁ、そうだな」
2人がばっと飛び出した、そのときだった。
「そこまでよ!! 野蛮な社会不適合者ども!」
馬車の中からフィリアと同じ歳くらいの女の子が出てきた。
「私はトリスタン王国第2王女・フォルトゥナ=ウィンクルム。 王族の名のもとに、ここを立ち去りなさい!!」
一瞬周りが静ける。だが……
「これはこれは王女様。その命には従えませぬ」
「なぜですか! 王女の命ですよ!!」
「そんな王女さまでも、装飾と服を脱がせればただのメスでしょう?」
ぐはははと男たちが大笑いする。王女は黙り込んでしまった。震えた膝は耐えられなくなり崩れ落ちた。
(誰か……助けて……)
「全員動くな!!」
全ての人間の動きが止まった。もちろん、その場にいた王女も含め。
(なに……?今度は何が起こってるの……?)
王女は不安でいっぱいだった。盗賊に襲われ護衛は全員やられた。絶対絶命の中、今度は突然身体が動かなくなった。しかし、恐怖心からではない。なぜなら、盗賊たちも全員固まっているから……
「なんだ!! 何が起こった!?」
「お頭、ご指示を!!」
盗賊たちも混乱して騒いでいる。
「男は全員声を出すな」
ピタッと盗賊から声がしなくなる。口だけ鯉のようにパクパクしている。
「えっと……王女様……ですかね? 大丈夫ですか?」
「今助けますからね!!」
王女の目には2人の少年少女がうつっていた。
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