第11話 すぐそこに迫る恐怖
「霊力って……幽霊の力のこと??」
フィリアは何を言っているのかわからないと言いたげにぽかんと口をあけている。
「幽霊とはちょっと違うなぁ……魂の力といえばイメージが湧くか?」
「魂の力!? なんか強そう!!」
ダメだ、フィリアの頭のポンコツさでは理解不可能だろう。そうだなぁ……とデウスは一生懸命わかりやすく説明しようと悩む。
「生命力と置き換えても説明出来るかもしれないね。現に僕が言霊の力を使ったあとは見るからに生命力が落ちていただろう? 生命力、つまり魂をすり減らして霊力として言葉にのせている。……というのが僕の言霊の力と仮定するなら、今までの現象が全て辻褄が合うんだ」
「それじゃあデウスが倒した魔獣からその……霊力だっけ? それが出たのは?」
「僕がファストキャットを殺したから、ファストキャットの生命力が霧散して、その魂が霊力として僕に吸収されたんだよ」
相変わらずフィリアはポカンとしている。
「とりあえず、霊力ってのは凄いのね!!」
ダメだこりゃ……とデウスは思わず失笑した。
「何を笑ってるの!」
「痛ってぇ!!」
フィリアに思いっきり叩かれたデウスは後頭部を抑えながら悶絶している。
「お姉さんをバカにするからよ?」
「だってバカじゃん?」
「こらーっ!!!」
フィリアがこれでもかと頬をふくらます。無邪気なその言動はとても可愛く愛らしく感じられ、デウスは少しほっこりしていた。
「でもさデウス、魔獣をデウスが倒したら霊力が貰えるんでしょ? じゃあデウスが言霊で動きを止めて私が魔法で攻撃して、とどめをデウスがしたら辛くも危険もなく魔獣たちを倒せるんじゃない?」
デウスは驚いた。アホのフィリアもたまには冴えるもんだとデウスは失礼なことを考えていた。
「確かに! たまにはすごいなフィリア!!」
「たまにはは余計よっ!」
また頭を叩かれる。デウスは自分までアホになるのではないかと本気で思った。
「それじゃあ、ものは試しね! 魔獣を探して倒してみましょ!!」
「でもどうやって探すんだ? フィリアが裸になって魔獣を呼ぶのか?」
「な…なにゆってるの! デウスのエッチ!!」
また叩かれた。言霊を使っていないのに生命力が削られている気がする。
「こうするのよ!」
そういうとフィリアは両手を前にかざした。そして魔法の詠唱を始める。
「虚無の
我が敵をあぶりだせ
どうやら敵をあぶりだす魔法のようだ。便利な魔法もあるもんだとデウスは感心した。
……などと思っていると、フィリアが青ざめた顔で震えながら口を開いた。
「アシッドタイガーが……すぐそこに……私たちの方に来ているの!!」
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