第46話
「ねぇ。遊園地、行ったの?あの女と?」
美玲、春来、美奈と遊園地に行った次の日の日曜日。
美玲が西園寺家の御当主様と奥様に遊園地の思い出話をするからと二人のもとに行っているので、僕の仕事はなし。
休暇中だった。
少し前々で休暇なんて3年に1度あるかないかだったのに、ここ最近休暇が多い。
ちなみに、御当主様と奥様は美玲の話しを聞くために海外から日本に帰ってきている。
二人は空港がある千葉の方にある別荘に滞在中である。
久しぶりの休み。
何をしようかとー思っていると、電話がかかってくる。
その相手は和葉。
有無を言わさぬ感じで延々と電話をかけ続けられ、僕が折れた。
行く気なんて微塵もなかったのに、行くことになってしまった。
そして冒頭に戻る。
「ねぇ。遊園地、行ったの?あの女と」
はぁー。
なぜ僕はあの日、あの時、彼女を切り捨てなかったのだろうか?
美玲のためにならないどころか、邪魔にすらなりそうだと言うのに。
あのとき僕が何を考えていたのかまるでわからない。
「美玲のことをあの女呼ばわりはしないでほしい」
「……わかったわ」
「え?」
僕は素直に頷いた和葉に驚きの声を上げる。
和葉ならもっと粘り、口汚く美玲のことを罵るのかと思った。
「そんなに驚かれるのは心外だわ。私もこれ以上ないくらい反省したのよ。……力づくで手に入れようなんて私もおかしかったわ」
……悪いものでも食べたのかな?」
「ちょっと!そんな私の印象ひどかったの!?」
「……割と?」
「酷い!あの日あんなに感動的なこと言ってくれたのに!力づくで手籠めにしようとした女なんて嫌われて、もう関わってくれないって思ったのに!のに!瑠夏が許してくれて!あんな言葉を言ってくれたんだよ!もう止まらないよ!私の恋は!愛は!」
……ここがどこかわかっているのだろうか?
公園なのだが……。
そんな大きな声で叫んだら近所迷惑極まりないだろう。
「次、僕や美玲、西園寺家に危害を加えたら容赦なく縁を切るから」
「わかってるわ!……それよりちょっとなんか対応が冷たくなってないかしら?」
「そう?それにこれくらいが和葉のような重い女には丁度いいでしょ?いつでも逃げるつもりで接するよ」
「ふふふ、わかっているじゃない。でも、瑠夏がどんなに逃げようとも重くのしかかり、逃さないんだから!見てなさい!私の魅力であなたのことをメロメロしてみせるんだから!」
(`・ω・´)ふんすっ!と気合いっぱいに意気込む。
僕に向けられるドロドロとした感情は少し減って、少しだけマシになったかな?
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