第25話
「デートと言ったら水族館よね!」
「そうなのか?」
「そうよ!だから今日は水族館を貸し切りにしてあるわ。イルカショーも見放題よ!」
「ん」
「……あら?驚かないのんね?」
「いや、僕はお嬢様の執事だし。こういうの慣れてる」
昔はよく水族館や動物園、遊園地を貸し切りにしたものだ。
最近は一切ないんだけどね。
ちょっと寂しい。
「あの女の話はしないで?」
「ん?わかった」
僕は素直に頷く。
女性とのデート中に別の女性のことを考えるのは失礼だと教えてもらった。
さっきたまたま和葉がトイレを行っている間に会った春来にね。
……。
………ちなみに春来?
その尾行気づかれていないとでも思っているのかな?
「見てみて!チンアナゴよ!」
「そうだね」
ふむ……こいつは食べられるのだろうか?
名前にアナゴとあるし、名前だけ聞けば食べられそうではあるのだが。
見た目的には美味しくはなさそうだな。
体が細くて小さいから殆ど身もなく骨ばかりだろう。せいぜい揚げ物に使えるかどうかと言ったところか……。
だが、もしかしたらとてつもなく美味しいかもしれない。
後で買って試してみようか。
僕はこの後も和葉と一緒に色々なお魚を見て回った。
どれも美味しそうなお魚ばかりだった。
「はー、疲れたわー。いつも来るまでの移動ばかりだから。もう少し日頃から運動することを意識したほうが良いかもしれないわね」
いや?僕達は午前5時からここまでずっと歩きっぱなしなんだよ。
今の時刻が午後3時だから約10時間くらいか。
そりゃ疲れるよ。
朝早くから来すぎなんだよ。
それに和葉の場合は昨日の午後9時から待っているわけだからね。
疲れて当然なんだよ。
というか普通に寒くないのか。
服装結構生地とか薄くて露出が多いんだけど。
めちゃくちゃ寒そうなんだけど
あ……!服!」
「そういえば、今日の服似合っているね」
「え!?」
僕がそう言うと、めちゃくちゃ嬉しそうに和葉が表情をほころばせる。
「嬉しい!もう!もっと前に言ってよ!本来そういうのは会ってすぐに言うべきものでしょ!」
「あぁ、うん。ごめん」
「……もう暗くなってきたね」
「そうだね。僕ももう帰らないと」
お嬢様のお世話をしなきゃいけない。
僕が暇を貰ったのは夕方までなのだ。
「そうね……。……そうね。帰る前に、帰る前に一つ行きたいところがあるんだけど、そこに行っても良いかな?」
「あぁ、うん。いいよ」
僕は歩き出した和葉についていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます