第17話
「そもそもあなたには関係ないはよね?あなたと瑠夏に何の関係も」
「あるに決まっているじゃない。瑠夏は私の執事だもの」
お嬢様?
僕の悩みを一気に吹き飛ばすとんでも発言やめてくれませんか?
「え?」
「私の世話は全て瑠夏がしているわ。一緒にお風呂に入って私の体を洗ったりね?」
「あ?」
世界と世界がぶつかり合い、混沌が生まれた。
殺気の奔流が、力の奔流が、ぶつかり流れ巡り荒れ狂う。
クラスメートたちは悟りを開いた。
自分たちはちっぽけな矮小な存在であると。
どうせ自分たちが何をしても無駄だということ。
いや、悟りじゃなくて諦めだわ。
「な、なるほどな。執事ってわけか」
「……う、うーん」
答えにくい。
僕には姿を隠すように言われている。
いくらお嬢様から話しだしたかと言ってここで僕が言って良いものか。
「それにしてもお前も大変だな。メンヘラ、ヤンデレのお嬢様の執事をやっているとか」
「ん?」
何を言っているのだ?こいつは。
「え?どうした?」
「僕はお嬢様の道具だ。お嬢様の道具である僕を勝手に他の人が使ったら嫌に思うのは当然でしょ?」
しかし、僕は人間であるから他の人との交流をしなくてはいけないのだが……。
完全な道具になりきれない出来損ないの自分が情けない。
「……お、おう。そうか」
なぜだろうか?
僕の前でドン引きしている春来を見て首を傾げる。
「というか、どうするんだ?これ。お前の話題だろ。止めてやれよ」
僕は二人の方を見る。
荒れ狂う殺気をぶつけ合い、睨みあっている二人を。
……。
………。
「……無理なのでは?」
「……そうか。でもよ、ほら見ろ」
春樹がなんかよくわからない感情を撒き散らし、生還することを待ち望むクラスメートたちを、泡吹いてぶっ倒れているクラスメートたちを指差す。
「可哀想じゃないか?あれ」
「いや、でも僕何も出来ないし」
「マジかー。もう逃げるか?俺ここにいたくない」
「……賛成」
僕はこの意味がわからないお嬢様と和葉の戦いから逃げることにした。
現実逃避万歳!
「こそこそ」
「いそいそ」
僕と春来はこっそりと教室を抜け出した。
「んー。これからどうする?」
「どうしようか。多分あの二人の争いは先生だけじゃ止められないぞ?」
「だよね。多分先生もぶっ倒れる」
「はー、もう今日は授業サボるか。なーおい。俺が進めたゲームやった?」
「あぁ、うん。少しは。他の人とできるところまでは頑張って進めたぞ」
「おーいいじゃん。いいじゃん。一緒にやろうぜ」
「うん。いいよ」
「春来!?あなた達!何しているの!」
僕達はダラダラと歩いていると、一人の女の声が響いた。
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