第18話
「あぁ、美奈」
須山 美奈。
出版社大手である集国社の社長令嬢であり、次期社長との呼び声も高い少女。
そして、春樹が土下座した相手だ。
「もうすぐ授業始めるのよ?何やっているのよ。あんたたち」
「あー、えっと、それは」
須山さんに問い詰められ、春来はしどろもどろになる。
「もしかして、授業をサボるつもりじゃないでしょうね?」
「ギクッ!」
……そんなわかりやすい反応ある?
まるで漫画の登場人物かのようだよ。
「そ、そういう君は?」
「私?先生に頼まれたことがあってね。私は成績上位者だし、ある程度の融通が効くのよ?あなたとは違ってね」
「うっせぇわい!」
……僕のほうが成績良い。
なのにちっとも融通が効かない。
何?この差。やっぱり家柄?結局の所家柄なの?
「それで?あなた達は?」
「サボろうかと思ってね」
「おいぃぃぃぃぃいいいいいいい!」
サラリと答えた僕に春樹が絶叫する。
「何しているのよ!そんなの許されるわけないじゃない!」
「そうだぞ!瑠夏!ちゃんと授業は受けないと!」
「春来?」
「ん?どうした!言い訳か!あぁ!?」
「サボろうっていい出したの。春来」
「は、はぁ!?そ、そんにゃ、んなわけないだろぉぉおおお?」
噛み噛みの動揺しまくりなんだけど。
「春来?」
春来へ須山さんの無言の圧力が加えられる。
「……」
沈黙。
僕と須山さんが春来をじっと見つめている。
「ごめんなさい」
春来が頭を下げる。
「はぁー」
須山さんが深々とため息をつく。
「もう!何をやっているのよ!」
「いやー、でも多分僕のクラス授業できないよ?」
「は?何言ってんのよ?授業が出来ないってどういうことよ?」
「そのままの意味に決まっているじゃんか。今西園寺さんと和葉がバチバチのにらみ合いしてて」
「は?それでなんで授業ができなくなるのよ」
「にらみ合いで殺気とかいろんなものがぶつかりあって、人が気絶したりしてね。多分先生も手を出せなくてそのままどうしようもないんじゃないかな?」
「はぁ?なんでそんなことに?」
「まぁ実際に見てみないとわからないよ。一回見てくればどう?」
「……そうするわ。あなた達も来るわよね?」
「なわけ。もう怖くて行きたくないよ」
「同意」
「……仕方ないわね。じゃあここで待っているのよ?」
須山さんがそれだけいい残して去っていた。
「どうする?」
「そりゃ離れるに決まっているだろ?」
「だね」
僕と春来はこの場から離れた。
「ゲームどこまで進められるかね」
「任せるよ。僕はそんなに詳しくないからね」
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