第50話 円卓からの挑戦状
その頃、名探偵ラト・クリスタルは
それはつまり迷宮街のあちこちで
そうした怪しげな話がカーネリアン邸へと持ち込まれる度にラトは迷宮街を
様々な事件の中でも
かくしてラト・クリスタルは『迷宮街一の狂人』という名声を
意外なことに、ラトは迷宮街に謎が
それはほとんどの謎が
だからこそその夜、ある
そのとき、クリフ・アキシナイトはカーネリアン邸の
そして屋敷の
本来なら屋敷の主人をさしおいて、屋敷に
いつの間にか酒の
ラトはそんな空気を切り裂いて現れ、
「どうしたんだ、ラト。
クリフがそう言うと、モーリスと侍女長は酒の助けもあって、いかにも笑いを
「もちろんだともクリフくん。これまで僕が事件を解決しきれなかったことがあったかい? 君たちはバカにするが、今回の事件については興味深く意外な
そう言うと、モーリスは
「残念だが、モーリス、君はいい手が来ると右手で右のこめかみを
ラトがそう言うと、モーリスはビックリして、先ほどからしきりに顔を触っていた右手を引っ込めた。
「そもそもこの
アンナは全身を
モーリスは
ふたりとも
ラトが言うことが確かならば、そこには
「それから君たちが負けると
ラトは手にしたステッキを
「クリフ君はかならず勝つ。それは彼がズルをしているからだ」
ラトは彼の
ハートのエースが表になると、とうとう執事と侍女長の二人はそれぞれに「興ざめだ」という表情を
「…………俺はカードの
「知ってる。このカードはモーリスとアンナが
「なんでそんなことを?」
「それより僕に言わないといけないことがあるんじゃないのかな、クリフくん」
「何をだ?」
ラトは思いっきり
「君はバカだ。
ラトは
そのラトの姿を見つめながら、クリフは何とも言えない笑みを浮かべていた。
確かに、クリフはエストレイが残した遺産を受け
「君がイエルクの血を
悪人をうんざりさせ、
その語り口に熱が入れば入るほど、クリフの笑みは深くなる。
彼はラトを
「何がおかしいんだ、クリフ君! それともそれは
「
ラトは娯楽室の鏡に自分の姿をうつした。
そこには、緑色の
どうやら
たしかにその緑色の魔物のような姿で熱弁を振るったとしても、おかしみ以外の感情を誘うことはできない。
それをラトも
「……着替えてくる」
と言ったきり、
しかし、そうは言ったものの、クリフもラトの言い分には
カーネリアン夫人がまったくの赤の
エストレイの遺産。その武器や
それに何より、女神レガリアを守るために若くして亡くなったエストレイの
ラトはやることなすことすべてが
クリフが望んでいない形ではあるが――アンダリュサイト
やり方はいつも悪いが、だが気持ちは本物だ。
それなのに
「ラト、いるか? われながら、さっきの
「わかった。じゃあ、そのままでいいから話を聞いてくれ。カーネリアン夫人の申し出のことなんだが……自分でも
しかし、それでも首を
「だが、俺がイエルクと
返事はなかった。
ラトなりに何か考えてくれているのかもしれないと思い、その場を立ち去ろうとしたときだった。
そのとき、物凄い
「いでっ!!」
「モーリス! モーリスはいるか!」
顔面を
部屋を飛び出してきたラトは、けたたましく、使用人を呼ぶためのベルを
その姿は先ほどの
クリフも同じものを見て似たような表情になった。
ラトの部屋は大きく
「モーリス、君は今日、僕の部屋に手紙を
「いいえ、本日はクリフ様にもラト様にも手紙は届いておりませんでした」
「
ラトの手のなかには二通の手紙があった。
一通の手紙の
それはペリドット侯爵家の
そしてもう一通は、
封蝋に押されている
「ラト、その手紙は何なんだ?」
「これは
「なんだって――?」
円卓、王家の刻印、そのふたつが組み合わせが示すところはひとつしかない。
それは王国を代表するといって
「え、円卓ってまさか、国王陛下に仕える
「その通りだ。よく知っていたねクリフくん。彼らは王家を守る
「……ん?」
クリフは痛む
噂に
「この手紙は円卓から僕に向けられた挑戦状だ。彼ら――つまり《探偵騎士団》からのね」
クリフはその
「……はぁ?」
ラトは「これは大変なことだ」と
クリフはモーリスに
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