第19話 誰も知らない宝石
クリフはカーネリアン夫人から話を聞いてすぐに、この件がラトの
謎や事件を求める
朝いちばんにラトの部屋を
クリフはちらりちらりとラトの表情をうかがう。
ラトは朝日のまぶしさに目をしかめながら、朝食に
「ルベライト夫妻の
事の起こりはこうだ。
妻が訪ねていったとき、夫は見知らぬ商人たちと
なんと、ルベライト氏はこの
ルベライト夫妻は宝石商たちを置いて
「しかしまあ、こういう
ひと
時間にしてほんの数分のことだ。
「どうだ、これは十分、お前が言うところの事件や
「どうだろう。いまのところ、それは
「そういうのは、もちろんルベライト家の人たちがさんざんやっているんだ。だけど、そもそも商談をしていた部屋は内側から
「だったら、そのうちの誰かが宝石を持っているだろう」
「それが、誰も持っていなかったんだ。宝石が無くなっていることがわかったときに、全員で身体検査をしたんだそうだ。ルベライト夫人だって例外じゃない。服のポケットや
「それで奥さんが再び腹を立てて、殺人事件が起きたとか?」
「そうはならなかった。なくなった宝石というのは大変
ラトはソファから身を乗り出して
「まだ
「それが、その宝石にはまだ名前がないんだ。それも、この事件の謎めいた点のひとつだと言える」
「ほほう」
「宝石はとある鉱山で
「馬の
「それほど大きくはない。片手に
「宝石が無くなったのはどれくらい前のことなんだい?」
「おとといのことだ」
「じゃあ、問題が起きてからすぐ、ルベライト夫人はカーネリアン夫人に泣きついてきたことになるね」
クリフは少しばかり
ラトはこのことについて
「こんなことは驚くには値しないよ、クリフくん。君はこの事件についての概要を話すとき、いつもルベライト夫人の視点に立っていた。離婚の
「ああ、そのとおりだ。というのも、昨日カーネリアン夫人のところに
「全くもって
「二人が離婚届にサインしたあとの行動が問題なんだ。まず、離婚同意書にサインした執務室から一番に出ていったのは奥方だった。宝石商と交渉していた
元妻は宝石など見ていない、知らないと主張しているが、離婚して他人になってしまった夫がその言葉を信用するはずがない。現実として宝石は影も形もなく消えてしまったわけで、持ち去った可能性があるなら、それは夫人しかないだろう、というのが宝石商の主張だ。
ルベライト夫人の
このままでは
「彼女は指一本、宝石に
ラトは確認した。
「ああ。本人はそう言っている。さあ、どうだ。これは立派な
「調査って?」
「ほら、ミイラ事件のときみたいに、街を歩き回ってさ。事件を解決するために、あれこれしたらどうだ」
クリフがそう言うと、ラトは笑い声を立てた。
「君の
ラトはおかしげに肩を
「でもね、この事件を解決するためには、僕は
「なんだって? この謎がもう解けたってのか?」
「
そう言って、ラトは目を
クリフは何もわからないまま、ラトに命じられたとおり、カーネリアン夫人に伝言を伝えに行った。
ラトはカーネリアン夫人を通じて、新聞にこのような広告を打った。
『ルベライト卿へ宝石を売ろうとした宝石商の方へ。
カーネリアン邸に宝石商から連絡があったのは、広告が
その間、ラトは部屋に
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