第11話 冒険者の持ち物《記憶鉱石》
「それは、
と、
冒険者は、
記憶鉱石には冒険者の名前や性別、出身地などの基本情報が
「おい、ラト。今はそれどころじゃないんだが……」
「これは大事なことなんだよ、クリフくん。ものすごくね」
「ラトさんの記憶鉱石をためしに見てみましょうか。冒険者証を出してください」
「ああ、もしかして、これのこと……?」
記憶鉱石は冒険者証の発行時、すべての冒険者に
ラトの記憶鉱石は
敏腕氏がそれを読み取り用の機械の上に置き、大きなレンズをかざすと、連続する小さな文字の
表示される情報のほとんどが
だが冒険者登録の際、申し込み用紙に記入した名前や出身地、
「男だ」と、ラトの性別の
「
「記憶鉱石には
冒険者が
「それにより、冒険者が
敏腕氏は魔術言語を読み取り、
見ただけで相手の
「
クリフがあからさまな
「記憶鉱石の
「生きている人間から発生する
「なるほど、だからシネーラ
敏腕氏はうなずいた。
ミイラことシネーラ嬢は助け出された後、受付職員に記憶鉱石を提出した。
記録が二年前に止まっているということは、彼女の死亡時期は確かにそのあたりだということになる。
「まあ、
「レガリアの鑑定も同じ機械でできるのかい?」
ラトが
「こちらでもレガリアに
ラトはスカートの下から、
ステッキを機械に通すと、二つの言葉が
《
《
ほかにもいろいろと浮かんでくるが、そのほかは魔術言語のままだった。
クリフはレンズを
「どうして隠すんだ?」
当然の
「ラト様のレガリアに
「敏腕くん、どうかここで見たことは黙っていてくれるかな。だって、ほら……
「どうして隠すんだ?」
クリフはもう一度、
ラトはどうしても、レガリアのことを知られたくないようだ。
「魔法の杖だよ、クリフくん。さっさと君にかけられた殺人容疑を
「解けるのか? もちろん、解けるなら、それに
「なぜって。もちろん事件と聞いたからさ。僕は
ラトはカーネリアン夫人の
それは記憶にある夫人の声そのまま、そっくりだった。
「カーネリアン夫人には感謝しているけれど、なんだか親切すぎるような気もするな」
「それは僕も思った。夫人はこうも言った。《ラトさん、あなたには、他の方にはない高い
だがカーネリアン夫人は、エストレイ・カーネリアンの事件を解決したことを非常に感謝し、評価もしてくれているのだ。
その評価が
しかしラトは、そこで他人の言葉を
「でも僕には彼女の言葉は違う意味に聞こえたので、一応、確認しておいた。それはつまり、衛兵隊の意志には
敏腕氏はうっすら
クリフだけが女性の
「つまりね、クリフ君。女性っていうのは、ときどき思っていることとは逆のことを言うものなんだよ。彼女が本当に言いたいのは《あの頭が悪くて
「それは、ちょっとお前の考えすぎではないか?」
クリフは言って、同意を求めて敏腕氏の方を見やった。
「カーネリアン夫人と、衛兵隊長殿と……。三人議会のさらにもう
敏腕氏は鉄の微笑みを浮かべながらそう言って、ラトの記憶鉱石を機械にかけ、《
*
何故、シネーラは迷宮内で殺され、ミイラになって発見されたのか?
そして何故、彼女はたまたまその場に居合わせただけのクリフを殺人犯だと指名したのか?
その謎を解く最短の道は、もちろん、当のシネーラ嬢に
だが、ラトの考えによれば「それは全くもって薄く
しかもシネーラ嬢は受付で記憶鉱石を鑑定してもらった後、いつの間にか姿を消してしまっていた。
彼女の自宅はギルドからそう遠くないところにあるらしいが、二年も前のことだし、シネーラは冒険の途中で亡くなったと思われていたことだろう。
おまけに彼女はクランに所属しておらず、いつもひとりで行動していて、こういう
クリフからすると、どうしたらいいのかわからずに
必要な情報を集めて冒険者ギルドをでたあと、ラトは馬車に乗って新市街地に向かうと言った。
大した距離ではないが、ドレス姿は歩き回るのに
ちょうどいい
「まだまだはっきりとはしていないし、確認しなければならないことは多いけれど、僕にはこの事件の真相がぼんやりと見えてきたよ」
ラトの言葉を純粋に希望に
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