第151話 う〇こ製造機、だお

 リザさんが亡くなった原因は、王室の権力争いによるものだったらしい。

 そのせいでリザさんは暗殺され、アンディは秘密裏に聖女マージャに託されたようだ。


「もし、お前が王室と政略結婚するのなら、気をつけな。利用されるだけ利用されて最終的に殺されても不思議じゃねぇって俺は思う」


「逃されたドブネズミが、窮地でもないのに虎に噛みつくというのですか?」


 そこに、今の王室で最も偉いモニカ女王が現れた。

 心臓が止まるかと思ったわ!


「虎? 王室なんざ利権を搾取するだけのう〇こ製造機だろ」


 ヒュ、ヒュウエル、その反論はまずいって。

 ってか、なんで異世界なのにう〇こ製造機って言葉があるんだ。


「モニカ、君の提案のせいで僕はすごく困ってるんだよ」

「と、言いますと?」

「政略結婚の話が浮上したせいで、国民の一部が暴徒と化した」

「暴徒? あの集団はタケルさんの熱狂的なファンだと聞いておりますが?」

「僕に対して〇ね! とか、カスとか屑とかって罵って来る連中だお!?」


 モニカの意識が僕にそれたのは狙い通りだけど。

 変わらんな、モニカの口八丁は。


「……ヒュウエルは何をしているのでしょうか?」

「ちょっと急用思い出したんでな、この店の主人に連絡してるんだよ」

「そうでしたか」


 気まずい……モニカが同席している場所って気まずい場面ばかりですお。


「話は変わるんだけど、モニカのお腹の中にいた子供は?」

「もうとっくに産まれましたわ」

「へぇ、じゃあこの国からの祝い品を贈答するよ。名前はなんて言うの?」

「……あの子の名前は――アンディ、と、仮にしておきましょうか」


 モニカの返答を受け、僕は全てを気取った。


 モニカたち王室メンバーは、ヒュウエルとリザさんの隠し子であるはずのアンディの存在を察知していて。モニカは今、彼を人質に取った。ヒュウエルの口を封じたのではないだろうか。


 ヒュウエルはモニカの言葉に、薄氷の笑みを浮かべていた。


「アンディ? クソみてーな名前だな」

「う〇こ製造機は彼女じゃなくお前のことですお!」


 声を荒げると、表から「こっちからう〇こタケルの声がしたわ!」と聞こえてきた。

 暴徒化したデモ集団がここにやって来るのも時間の問題になったようだ。


「じゃあヒュウエル、後は頼みます」

「待てよ、お代もらってねーぞ」

「ツケで! それでは!」


 僕はビルの階段をつたり屋上へ出る。

 そして上空へと跳躍したあとはアオイの魔導グライダーで学校方面へと向かった。


「あれ! あそこにいるのタケルよ!」

「撃ち落とせ!」


 見つかったか! ならばこちらもアオイ特製の煙玉を!


「ソォイ!」


 アオイちゃんちーの煙玉を眼下の街にばらまき、事なきことを得た。

 って思うじゃん?


 その後日、僕は国の警備部門の代表であるケイト夫妻に呼び出され。


「先日、タケル殿が起こした騒動の件で国民から膨大な数の苦情が届いてます」


 あれは僕のせいなの!?


 そんなのってないじゃん(´;ω;`)。


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