第136話 開国記念日、だお
その後、知能の薬を貰った僕たちは住処のホテルに帰る。
アオイちゃんちーの新スキルのおかげで酷い目に遭った。
本人の目の前で言うとそこでザハドの魔法は解けたようで。
「ざっけんなぁああああああああ! ザハド、二度と私にその魔法使わないで!」
「えぇ、今回はすみませんでしたアオイ」
「ったくぅ、ざけんなよ豚魔人、豚骨ラーメンにして食ってやるぞ」
「その話は後日にしましょう、今は家に帰るべきですよ」
ザハドがアオイをなだめている光景に、僕は落ち着きを取り戻せた。
神々の楽園にいた時感じていた非日常的な恐怖心は霧散する。
「アオイちゃん、俺が家まで送っていこうか?」
アンディはアオイを送迎すると申し出るが。
「ケッコウ! 敵国の手助けはノーセンキュ!」
「そ、そっか、じゃあ屑様、俺もこの辺で」
ああ、ありがとうアンディ、それからアオイ。
ケヘランやザハドも付き合ってくれてありがとう。
◇ ◇ ◇
して翌朝、昨夜泊っていったゼオラを専属秘書のウェレンに呼びに行ってもらった。従順な性格をしているウェレンは特に嫌がることもなくゼオラが宿泊している部屋に向かって、それから早一時間が経過した。
何か遭ったのか? と思い、自らの足でゼオラの部屋に向かうと。
「惜しいぃ! だから言ったじゃないですか、貴方は突っ込みすぎなんですよ!」
「す、すみません。ですが」
「ですがも何もないです、もう一戦いきますよ」
「はい」
わーお。
ゼオラはウェレンを引き込んで好事しているゲームに熱中している。
なんたるはた迷惑、これから交友を持つだろうとはいえ、恐ろしいね。
「ゼオラ、君と約束していた代物をまずは一つそろえたよ」
「……いつの間にいらっしゃったんですか、貴方」
「ウェレンから聞いてないの? 他人のことは言えないけど、ゲームはほどほどにしなよ」
んで、三人で僕の自室であるオーナー室に戻り。
昨日ダランから処方してもらった知能の薬をゼオラに差し出した。
ただ、竜種にこれを使ってどんな効果があるのかは、断言できない。
「構いません、神が用意したものであればいくらか信用はあります」
「そう? じゃあさっそくだけど、ゼオラにもステータスウィンドウを付与するな」
「えぇ、って、え? ステータスウィンドウって」
「――ステータスウィンドウ付与、これで僕と君の間で交易が出来るようになったよ」
交易の機能はアオイがこの大陸に来る前に魔改造して作った。
アオイはこの機能を使って他国との交易をスムーズに図ろうとしていたんだ。
そんな風に国の未来を想いやってくれていたのに、何が原因で謀反したんだろうな。
「知能の薬は僕のステータスウィンドウのおかげで無限に生成できるようになったから、あとはゼオラの傀儡である竜たちに使ってみて。それで効果が出てきたら、また僕の所を訪れてよ。そしたら本格的に九龍との交友関係を深めたいからさ」
「わかりました、ありがとう御座いますタケル」
「いつか僕たちが互いに手を取る日を、夢見ているよ。それじゃね」
さぁ、問題が一つ片付いた。
とは言え、問題は山積みだぞ。
ここは一発気合を入れるために、オナヌーしよう!
ファイトー……い! ぱぁああああああああああああああつ!!
オナヌー後に嗜むエナジードリンクは格別です! フフゥ。
「なぁタケル、例の話はどーなってんだよ?」
「なんだよジュード、例の話ってなに?」
「俺とゆりちーちゃんの恋愛はどうなるんだよ」
「それは当人同士が上手くやることだろ? 他人を頼るなよ」
「だけどお前、ゆりちーちゃんはアオイちゃんの友達だろ?」
「そして僕はアオイの兄だけど、行ってしまえば赤の他人だよ」
「クッソ使えねぇなぁタケル!! ちょっと期待した俺が馬鹿だったぜ」
「まぁまぁ、もうちょっとで建国記念パーティーは開催されるからさ」
「パーティーとこれとどう関係があんだよ!?」
「ジュードも闘技大会に出て、ゆりちーちゃんに活躍している所見せたらどう?」
「は! 上等じゃねーか、その話受けて立つぜ!」
と言ったように、ジパングの建国記念パーティーはもう間もなく行われる。
今日はパーティーの目玉である闘技大会の会場を視察しに行こうと思う。
会場に向かうと、ライザがヒュウエルと会話しているようだった。
「今の私であれば、貴方を倒すことも可能だと思う」
「例え俺を倒しても自慢にはなりゃしねーよ」
「だが、私は貴方と戦いたい。貴方だとて大会に出る理由はありそうだしな」
「……必要なんだよ、リザとこれから世界を旅するための資金が」
ほうほう、ライザはヒュウエルとの対戦を望んでいて。
ヒュウエルは大会の優勝賞金を狙っている。
大会の組み合わせはランダムで行うものだ思っていたが、出来れば熱い展開になれればいいよな。
その時、闘技大会場を視察していた僕の所にランスロットが慌てた様子でやって来た。
「タケル、開国記念祝賀パーティーに参列する各国の特別なゲストを連れてきたよ。挨拶して面識を持ってほしい」
そう、開国記念日である四月一日はもうすぐそこまでやって来ているのだ。
僕はランスロットが誘致したゲストと面会し、丁寧な感じで挨拶を交わした。
そしたら相手から次いで出るのだ――この国は素晴らしい資源をお持ちのようだ、どうか我らと交易関係を築きあげてもらいたい。僕はすぐにステータスウィンドウを付与して回ったよ、そして各国で交易が出来るようになった。
先ず初めに、僕は砂の国に冷蔵庫とエアコンのアーティファクトを交易材料として送った。向こうは対価として特産品の肉や羽毛を提供してくれるらしい。砂の国からは飲料水なども要求されたので、アオイがテキトーに作った無限に水が沸き上がるアーティファクトを提供した。
砂の国の人は大層喜んで、僕たちの国を認めてくれた。
僕が交易の全てを引き受けるのは不可能なので、これからは僕の国に交易担当を立てないとならないな。今余っている人材としては、えっと、誰がいるだろう?
ふと、彼が目に留まった。
モニカを女王として控える王国の隣国。
その隣国でレジスタンス活動をしていたリカルドという男に、目が行っていた。
僕は彼に近づき、握手を交わす。
「以前どこかでお会いしましたよね? 竹葉タケルです」
「記憶にはないが、リカルドだ。今回は主の付き人として参った。恐らく闘技大会に出場すると思う」
彼は自国の体制を批判し、レジスタンス活動していたはずだ。
なら、ひょっとしたら僕の国に引き込むことは出来ないかな。
人は力だ、それも安くて使える最高の労働力だ。
なら今のうちに有能そうな人たちとは、この機会をもって交友を深めたい。
そんなこんなで、四月一日は訪れ。
いよいよ、我が国、ジパングの建国記念日がやってきてしまったのだ。
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