第133話 九龍城だお

 僕が運営管理し、来る四月一日にその国名の発表を控えている――ジパング。


 今日は親友ライザの導きによってこの大陸に隠された特級ダンジョンのヌシである天のゼオラと出会った。ゼオラは女神ノアの介入によって双方のいざこざを武力で決定するのではなく。


「もとより、我々九龍は争いを好みません」

「じゃあ?」


 今僕たちは滞在しているホテルの会議室にてゼオラの意見を仰いでいる。

 国王である僕の専属秘書となったウェレンがお茶をみんなに配っていた。


「争いは好みませんが、ゲームは好きです」


 なぬ?


「好きなゲームのジャンルは?」

「私で言えばMOBA系が得意です」


 ……ガチやな。

 ゲームって、てっきりチェスとか、古風なボードゲームのことかと思えば。


「他の九龍の方はどんなゲームが好きだと?」

「風や火、水といった九龍はFPSを好んでやりますね」


 この大陸の生い立ちは特に知らないけど。

 この大陸にいる有力者である竜のボス共は、ガチの廃人ゲーマーだった件について。


「その情報は信じていいんですか?」

「九龍を舐めないでくれますか?」


 と言っているゼオラの据えた両目は死んだ魚の目をしている。

 すると会議室に同席していたエレンが机を指で叩いていた。


「さっきから意味不明な会話しないでくれる? MOBAとか、FPSって何?」

「あ、興味ない人にはとことん興味ない話題なので」

「あっそ、なんとなくだけどタケルと同じむじなだってことは把握したわ」


 エレンはそう言うとリンを連れて部屋を退室する。

 これ以上の会話は無駄と判断したらしい。


「それで、僕にお願いがあるって言ってましたよね?」


 ゼオラに問うと、彼女は綺麗な白髪を手でかき分けて、優美にお茶を口に運びつつ。


「貴方の力は神であるノアより伺っております。私が九龍を代表してお願いしたいこととは、もうちょっと私たちの住処であるダンジョンを住みやすくしてもらいたいのと、新作のゲームの開発はどうなっているのかという事前情報、それと――私たちの傀儡である竜に人の姿を与えてやれないかどうか」


 ふむふむ。


 ゼオラの発言は端からイヤップが書き留めている。この国にもとより居ついていた竜種、その頭領を担っていた九龍。なんでも彼らの願いは自分たちが管理しているダンジョンを改築して欲しいとのことだった。


 ならば先んじて僕は命名しよう、この国の特級ダンジョンの異称とやらを。


「おおよそ把握しました、であれば僕の国の大工とともに九龍城を作りましょう」

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