第128話 オタトーク、だお
某日、ウェレンが僕の部屋に忍び込んでエロゲーしていたことを知る。
彼女は地球文明に触って日も浅いのに、エロゲーに興味津々だった。
……彼女の姉のイヤップを呼ぼう、出来ればライザも。
そして――彼らに僕の趣味を知ってもらおう。
イヤップにお願いし、ライザとウェレンを同行して秋葉原に集合してもらった。
「この度は家の妹がすみませんタケル」
「……すみませんでした、タケルさんの私物を勝手に弄って」
イヤップはウェレンから事情を聞いていたのだろう、二人して謝っている。
「いやいいんだよ、同士がいたことを知れて、嬉しいんだ」
ライザが僕たちのやり取りを見て不思議そうにしていた。
「ウェレンが何かしたのか?」
「ううん、何も」
「ならいいのだが……タケルは何かあるとすぐに顔に出るな」
え? そう?
「(´◉◞౪◟◉)」
まぁ内心、ほっくほくやで! ほっくほくやで!
「とりあえず、君たちに僕の趣味の世界を知ってもらおうと思って今回は集まってもらった。ライザには以前から言ってたと思うけど、僕の趣味は二次元だ。ウェレンは理解があると見たから、ある人を紹介したい」
その人物との待ち合わせ時間はもうそろそろのはず。
僕はステータスウィンドウを開き、時刻を確認すると、DMが入っていた。
『タイガーホールで待ってる』
「ああ、彼は先に来てたみたいだ。こっちだよみんな」
して、秋葉原を模した街の一角にあるビルへと向かった。
エロゲを嗜んでいたウェレンはこの街並みを見て、目を輝かせているみたいだ。
「姉さん、この街にあるものは取っていってもいいの?」
「街にあるものは一応規制されてるから無理よ、なんでも貴重品かもしれないらしいから」
いや、君のような理解ある子には、融通しようじゃまいかウェレン。
「本当ですかタケルさん」
「本当だよ、それに、ウェレンに紹介したい人もパソコンを使ってるからね」
と、たしかここだったかな?
件の待ち人に。
『何階にいるの?』
と聞くと、『五階にいる』と言っていた。
ならここは一階のフロアから入念に見学していきますかね。
二次元趣味の見学で、特に目を光らせていたのはイヤップだった。
イヤップは妹のウェレンが置かれている商品に手を伸ばすと。
「こら、ここにあるものを無暗に手に取っちゃ駄目でしょ」
「でも姉さん」
「口答えはしないで、貴方はこの世界のことをあまり知らないのだから」
と叱っていた。
一階は一般ゲームのコーナーで、二階は中古ソフトのコーナー。
三階と四階は乙女向けコーナーで、ウェレンが固唾を飲んでいた。
して、件の待ち人がいる五階――エロゲフロアへとたどり着くと。
「く、姉さん、私やっぱり自分を抑えきれない」
「ウェレン、大丈夫?」
「よく考えて姉さん、人生は一度きりだし、好きなことして何が悪いの?」
ウェレンは徐々にパッションを抑えきれなくなっていた。
「……なるほど、噂に違わぬ、腐女子のようだな。彼女なら即戦力になるな」
五階で待っていた人影はその様子を見て、ウェレンを仲間にしたがっている。
「紹介するよウェレン、この人は氷山といって、僕の同士の一人だ」
「よろしく、俺はこの世界で初のゲーム会社を起ち上げるつもりでいる」
氷山がかねてから計画していた胸の内を話すと。
「ちょっと待ったー! サタナのゲーム業界は私が牛耳るでおじゃる」
先日、独立国家をかってに起ち上げたアオイちゃんちーが何食わぬ顔で話題に入って来てしまった。そこからはもう、僕を交えてその場は空前絶後のオタトークが巻き起こり。
「タケル、私はイヤップを連れて先に帰ってるな。ウェレンのことは頼んだ」
話題についていけないライザやイヤップは帰ってしまうのだった。
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