第119話 建国記念パーティー、だお
ダニエルとケイトの処置の甲斐あって、ライザの妹弟は全快したようだ。
救助に向かったその晩、ライザとイヤップは久々に家族で食卓を囲み。
「美味い、美味い、兄ちゃんこれ美味い」
「もっと落ち着いて食うんだロン、むせてもしらないぞ」
小さな弟のロンは、尻尾をぽんぽん跳ねさせながら夕飯を食べている。
イヤップがロンを慈しむように頭をなでていた。
ライザはその光景に安堵しつつ、僕の方を見やった。
「今回は、いいや、タケルには助けられっぱなしだ、本当に感謝している」
「お互い様じゃないかな」
「いや、この借りは必ず返す。期待しててくれ」
ライザの態度に、妹の一人のティトが感心している。
「ライザ兄さんが頭を下げるなんて、タケルくんは信頼されてるようですね」
「うむ、僕とライザは無二の親友ですお」
「ところで、リィダ兄さんは?」
ティトは話題をリィダに移していた、ライザとイヤップは数瞬黙り。
「リィダはここの人たちに迷惑を掛け、往生したみたいだ。私はリィダの最期を看取ったが、口外できるような最期ではなかった。ティトやウェレンの知っている優しかった彼はここにはいなかった」
ライザはあるていど省いて伝えると、彼女たちは気を落とした。
兄姉たちが気を落としている雰囲気を気取ったロンは、食事の手を止める。
「……それじゃあライザ、僕は仕事があるからこのへんで一旦失礼するよ」
「ああ、ありがとうタケル。恩に着る」
b、ライザの家族にサムズアップしてその場を後にした。
バイキングで使った食器をジュードたちに渡し。
「なぁタケル、今朝の件は考えてくれたのかよ」
「今朝の件?」
「ナンパの件だよ」
「駄目に決まってるだろ、そういう公私混同してると、客が寄り付かなくなるよ」
こいつ、何があろうと変わらんな。
「ちなみに、誰を狙ってるんだ?」
「え? えっと……ゆりちーさん」
それって、アオイのマブダチじゃまいか!
「ジュードはその子のこと、どこで知ったの?」
「決まってるだろそんなの、ここで給仕してたらゆりちーさんが可憐な様子で食器を返してくれたんだよ。俺はゆりちーさんを見てドカーンとした衝撃に打たれた」
なんだ単なる一目惚れか。
ってなことがあり、僕はアオイちゃんちーにそのことを包み隠さず伝えた。
『お兄ちゃん、これは竹葉兄妹が結束して立ち上がる時だよ!』
『ゆりちーさんは何て?』
『まだ伝えてないけど、もっとロマンチックなシチュを作って、とにかく私に任せて』
『お前に任せるとややこしいことに発展するの目に見えてるからなぁ』
『大丈夫!!』
どうやら、アオイちゃんちーが主導して何か催しものをやることになりそうです。
まぁ仕事尽くめの毎日だと殺伐としてしまうし、それに人口も増えたことだから。
ここは一つ、建国記念のパーティーでも開こうじゃないか。
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