第113話 エレンとリンの来訪だお

 アンディには失望しましたお。


 僕の方から歩み寄って友達宣言したのに。


 俺、友達は選ぶことにしてるから。ってきたもんだ。


 怒りのあまり僕は手淫しちゃうんだお! お……おうふっ。


 コンコンコン。手淫し終えると、誰かがまた部屋にやって来た。


「どうぞ」


 とその誰かを出迎えた瞬間、僕は愁眉を開いた。


「エレンじゃないですか、どうしたんですか?」


 来訪者はヒュウエルを慕う女冒険者のエレンとリンの二人で。

 エレンは神妙な顔つきで室内をじろじろと見ている。

 リンは相変わらずクールな感じ。


「あんた、何様気取りなの? こんな凄い建物でも、特別な一室に構えたりしてさ」

「気に食わないですかエレン、昔の僕とは違うんですよぇ」


 舐め腐った感じで言うとエレンはびんたした。

 少しはためらってくれないかな!?


「二人はどうしてここに? ヒュウエルの傍から離れたくないって理由で来なかったのに」


 打たれた頬を手でさすり癒していると、エレンはアンディのように机に腰をかけた。


「王女様に依頼されちゃってね、しばらくはこの大陸のダンジョンを攻略することにしたの」

「モニカですか? じゃあエレンたちの他にも王都の人間は来てる?」

「えぇ、ざっと二千人ほど」


 結構な人数寄こしたなぁ。

 ランスロットが伝手を使うとかって息巻いていたけど、さっそくかよ。


「二千人の内訳はわかりますか? おおよそでいいんで」

「あ? 他人を使うのならそれなりの対価払いなさいよ」


 うう、エレンはものすごい機嫌悪そうにしている。


「ねぇタケル、さっそく相談があるんだけど、よろしくて?」

「内容にもよりますよ」

「あんたねぇ? 私の相棒であるリンを穢しておいて、その態度はなに?」


 それはリンと僕の問題であって、エレンが口だすことじゃないんじゃ?

 そう思い、リンを見やると地蔵のように微動だにしてなかった。


 この二人の関係性も、変わってないみたいだなぁ。


「相談ってなんです?」

「私とリンのために、この街の一等地にある住まいを無料提供しなさい」

「それですか、不動産をめぐる問題については、今の所無法地帯ですよ」


 だから好きな家見つけて勝手に住み着いてくれ。

 と言うと、エレンは大声でばっかじゃないの! と叫んだ。


「こんなアーティファクトだらけの素敵な街を、管理してないの?」

「最近になって人が急増して、管理する人がいなかっただけですよ」


 それに、この大陸の至るところに竜種が巣食っている。

 管理するにしても先ずは街の安全を確保しないと。


 そう言うと、エレンは僕に飛びついて馬乗りになった。


「タケルは王にはなれない、今すぐその座をあたしに寄こして」

「嫌ですよっ」


 と、ちょっとした乱闘騒ぎに発展しそうだった時、リンがエレンの腕を掴んだ。


「ここは私に任せて、エレンはしばらく席を外してて」

「チ、いいことタケル、あんたが胡坐かいてる王の役職は、いずれあたしが簒奪さんだつするからね」


 簒奪、つまりは家臣による革命。

 エレン、貴方はいつの間に僕の家臣になったっていうんですか。

 もちろん言葉の綾だと思うけど。


「助かりましたリン」


 リンは僕に手を差し伸べて、椅子ごと起こすとキスをした。


「王様、私に何か頼みごとがあったんじゃ?」

「……? えっと」


 リンの言葉を不思議に思っていると、彼女は羽織っていた黒い上着を脱いで。

 ついでに下に履いていたスカートも脱ぐ。


「王様、何なりとご用命ください」


 えっと……これ、なんてエロゲ?








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