第107話 エルフのその後、だお

 アオイと約束を交わし、僕はライザのもとへと向かった。


 そこには巨大な図体をした竜が仕留められた様子で倒れている。


「へへ、今回は大物取りだったな、いー汗流せたぜ」


 ハリー、仕留めたのはいいが、この竜の亡骸はどうするので?

 ミレーヌがハリーの周りを飛び回り、ハリーに癒しの魔法を使っていた。


「お疲れさまハリー」

「おう、お前の回復魔法はすっげー役に立ってたぜ、へへ」

「ふふ」


 そこで僕はステータスウィンドウを開き、倒された竜の種族名を調べる。


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 モンスター名:レッドドラゴンキング

 スキル:古代火炎魔法

 レベル:45

 能力値

 HP :28091

 MP :50005

 STR:20291

 INT:19009

 SPD:1890

 LUK:981

 概要

 ・レッドドラゴンの進化系の一種。元々体格に優れていたレッドドラ

 ゴンの系譜の中でも特に巨大化した個体。しかし外見とは裏腹に得意

 とするのは強力な火炎系の魔法である。

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 弱点は水属性の魔法と物理攻撃か、なるほど。


「ふぅ、倒し甲斐のある大物だったぜ」


 と、子供のアンディまでもがその戦闘に加わっていたみたいで、ちょっとブルった。

 アンディはまだ非力なんだから、もしも死んでたらどうするんだと。


 ライザは駆けつけた僕を見つけ、近寄って来て。


「タケル、あのドラゴンは倒してしまったが、問題なかったか?」

「んー、問題があるとしたら、この大陸に巣食う竜種の扱いかな」


 まさか、駆逐してやるッ!! と言うわけにもいかない。

 出来るのなら竜種とも共存共栄していきたいんだよ。


「……そう言えば、私はこの大陸で気になる新スキルを会得したのだ」

「っていうと?」

「雷遁、嵐遁、と来て、新しいスキルの名前は龍遁というのだが」

「ライザのスキルは全部かっこいい響きだね、羨ましいよ」

「龍遁は、竜種の召喚、または使役とステータスウィンドウには書いてある」


 ほえー。


「じゃあライザは竜騎兵になれそうだね」

「ああ、もしも使えそうであれば、惜しみなく使うつもりでいる」


 ライザの新スキルについて談話していると、彼を慕う女勇者のナナが寄り添った。


「さすがはライザですわ、貴方の才能はリィダ様が見越したとおりでしたね」

「私など、タケルに比べれば役立たずだ」

「そんなことありませんわよ」


 ナナの発言には僕も同感だった。

 こと、戦闘面においてライザは無類の強さだし。


 彼の力はステータス面では最強のアオイすらも、超える日が来ると思う。


 といった空想を見ていると、僕のステータスウィンドウにある人からDMが届いた。


『今から秘密裏に会えないか?』

「……ライザ、僕ちょっとまた急用が入ったから、出来ればこの竜の後始末頼むね」

「わかった、解体して食えるところは残しておく」


 じゃあ今日のお昼は竜のステーキかな、少しドキドキ。


 僕はその場をそっと離れ、DMを送ってくれた彼女に返信した。


『どこで落ち合いますか?』

『ケヘランの墓標で待ってる』


 んー、とすると。


「アンディ、ちょっと協力してもらっていい?」

「いいけど、何の用だよ屑様」


 アンディはヒュウエルの隠し子で、母親はモニカと同じ転移スキルの血筋だ。

 だから今一時だけ、アンディの転移スキルでケヘランを祀った墓へと向かった。


「……来ましたよ、ケイト、それからカイゼル」

「いらっしゃい、何もない所だが、ゆっくりしていってくれ」


 ダークエルフのケイトは軽装姿で、以前僕が作った家屋の中で夫のカイゼルと生活しているようだった。カイゼルはケイトが用意した薬草のお茶を口に運び、今はとても穏やかな表情をしている。


 僕とアンディはカイゼルの真向かいのテーブル席に座った。


「いずれ、貴方達とも連絡を取るつもりでいたんだ。だから今回は僥倖でした」


 というと、ケイトとは対照的な白い肌のカイゼルはティーカップを下ろす。


「それはよかった、俺たちはもう、タケル殿に頼み込むしか生きる術がなさそうだったんでね。俺と彼女が一緒に生きるには、この大陸にはいられない……タケル殿、俺の顔に免じて、彼女と一緒に生活できる場所を紹介してくれないか?」


「嬉しいですカイゼル、僕は貴方達を招待したい場所があったので、今回新しく出現した新大陸になります。僕はそこで若干名の仲間とともに、国をつくっている最中なんですよ。ぜひご協力頂けませんか」


 カイゼルは僕の言葉を聞くなり、席を立って僕の手を取った。


「ぜひとも協力させて欲しい、ありがとうタケル殿……!」

「それで、お二人以外にも働き手として協力してくれそうなエルフに心当たりありますか?」

「空世界にコネクションがいくつかある、彼らは戦争とは無縁の、無辜むこの民だ」


 と言うことで、僕はエルフの大陸での人材集めも成功させた。


 四人で一緒にケヘランに祈りを捧げ、ケイトとカイゼル夫妻を新大陸に連れて行き。その後はエルフの大陸の知り合いたちに、アオイが用意したステータスウィンドウの交易ツールを配布して回った。


 カイゼルのコネクションで空世界から延べ千人の働き手を募り。

 僕の国づくりはますます楽しく、そして扱いづらくなっていったんだお。

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