第106話 妹の成長だお

 僕たちの国づくりは先ず勇者召喚の祭場を作ることからスタートした。ライザを連れて変幻自在城スキルでそれらしい建物をつくり、大工のブランカと聖女たちに見てもらった。


 ブランカはメグを気に掛けるよう目をやっている。


「これは見事なものだが、細部がやはり違うか」

「あいまいな記憶で作ったんで、そこはブランカに期待してますよ」


 と言うと、メグを筆頭とする聖女たちは。


「中はどうなってるのでしょう、拝見させて頂きますよ」


 中の作りは、外部よりかはこだわったつもりだ。通気性を考えた風路に、聖女たちのことを考えておいた洗濯機つきの着替え室と化粧直しやら、万が一の可能性を考えて幼児のための児童待機所までもうけた。


 メグは首をかしげて、うーんと唸っていた。


「聖女への気遣いは嬉しいのですが、抜けている感じですね。これはブランカさんに手を加えてもらわないと駄目そうですね」


「じゃああとはブランカさんと聖女様たちに任せるよ。僕は違うことをしてるから、何かあったらDMして」


 その場を後にし、次はアオイちゃんちーのもとへと向かった。


 ステータスウィンドウで確認すると、アオイは遊園地にいるようだ。

 遠いな……えっと。


『アオイ、遊んでないで少し付き合え』


 とDMを送ると、アオイの返答はこうだ。


『三日ちょうだい、三日後には本気だすから』


 遊園地は、稼働してるのか?

 僕はなんとなくで街の機能を使っていた。例えば自動扉やエアコン、冷蔵庫。

 しかしこの大陸の電力施設はどうやって稼働しているのだろう?


「ノアなら知ってるんじゃないか」


 隣にいたライザは僕の疑問にノアの名前を挙げた。

 ノアは団体行動を好むような感じだし、今はハリーや他のみんなと一緒にいるみたいだ。


 ならハリーにDMを送ろう。


『ハリーは今何してるんですか?』

『俺たちは昨日雌雄を決しきれなかった竜種のボスと再戦してるところだぜ』


 何を考えてるんだ、そっとしておいてやれよぇ。


「ライザ、ハリーの援護に行ってもらっていいかな」

「わかった、タケルはアオイの所か?」

「うん」


 国づくりを始めてから、さっそく問題にあたった。

 その問題とは、みんなが思い思いに動きすぎだということだった。


 その後、僕は遊園地に向かいジェットコースターを一人で楽しんでいるアオイちゃんちーの首根っこをつかまえた。


「うわーん、どうして邪魔ばかりするのお兄ちゃん、貴方それでもお兄ちゃんですか!」


「建国にはお前の力が必要不可欠なんだ、遊ぶのなら国を安定させてからにしてくれ、現実逃避するな」


 で、僕はアオイちゃんちーとこの大陸を改めて感想しあった。

 どうやらこの大陸は日本列島に似ているようだが、それは似て非なるものだった。


 日本から離れ数年は経つけど、遊園地の場所がアオイや僕の知る地理と違う。


「まるで日本を真似て作ったような大陸だね」

「ああ、そうだな。ということは僕たちは本格的にこの大陸を攻略しなくちゃいけない」


 でないと他国との交流や、他国からの防衛をまるで設計出来ない。

 そこで無理を承知でアオイに頼みたいことがあった。


「アオイ、お前のクラフトで、ジェット機って作れないかな?」

「チッチッチ、無人偵察機を作る。ってことで手を打たないお兄ちゃん?」

「ありがとう、見返りは何がいい?」

「三日、三日間だけ私とザハドを放っておいて」


 どうやら最初は冗談だと思っていたアオイの――三日後には本気だす。

 との発言は、妹なりのモチベを高めるための自己管理だったみたいだ。


 アオイ、お前もお前で成長がいちじるしいようでなにより。


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