第100話 もう一人のランスロット、だお
いざ、我が人生最大の偉業の礎となる新天地へ!
と心を燃やしていた僕らがやって来たのは秋葉原のような街だった。
「ふむ、なるほど、わからん」
衝撃の光景に理解に苦しんでいると、アンディがすそを引っ張った。
「屑様、あれ見ろよ」
「ん?」
言われ、アンディが指さした交差点を見ると……竜だな。
恐竜みたいな大物のモンスターが、のっしのっしと秋葉原をかっぽしている。
見慣れない周りの景観に視線を釘づけにされた他は気づいてない様子だ。
危ないかも知れないから、建物の中に避難してもらおう。
「はいはーい、皆さん、ここはちょっと危険ですのでこちらへお願いしまーす」
と言い、駅近のビルに避難させる。
「なんなんだここは? 屑様が好きそうな二次元ばっかだな」
「ほほぅ、アンディくんは二次元に理解があるんだね、優秀な子だねぇ」
「やめろよその顔、きもちわるいだろ」
「(´◉◞౪◟◉)」
いくつか聞きたいことがあったので、この大陸の管理者であるノアに詰め寄った。
「ノア、ここはどうなってるんだ? なんで僕の故郷の繁華街のような感じなんだよ」
「私の大陸は夢をテーマにしていますので、今回はタケルさんに影響されたのかと」
僕に影響されて出来てしまった秋葉原のような街、ねぇ?
ノアの説明を受けた僕に、アオイが近寄って来てステータスウィンドウを開いた。
「お兄ちゃん、あのね、これがこの大陸の全容なんだけど」
「日本列島みたいだな」
「うん、で、私は実家に帰らさせて頂きます、ありがとう御座いました」
「待て」
そそくさと立ち去ろうとしたアオイちゃんちーの首根っこをつかまえる。
「実家に帰るのはみんなの住居が整ってからにしろ」
「好きなとこに住めばいいじゃん!」
「そんなわけにもいかないだろ?」
とその時――ステータスウィンドウから通知音が鳴る。
するとステータスウィンドウは自動的に開き、今回会得したスキルを教えてくれた。
『・スキル【自動精霊】を獲得しました』
「新スキルゲットー」
「ちぇ、勇者はいいよな。それに比べて俺たちは」
アンディは僕らばかり有能になっていくようすを嫉妬しているみたいだ。
アンディの姉であるメグが近寄って、さとすよう頭を撫でていた。
「あんたは無能なぐらいがちょうどいいの」
ひどす。
「それで、タケル様、私たちはこれからどうすればいいので?」
メグは僕がオナニーの最中、サタナに召喚されたことを知っているからか、風当たりが強かった。
「うーんと、そうだな……先ずはある程度パーティー別けして、この街を探索してもらおうかな。集合場所は駅前でいいだろう。探索時間は二、三時間でオナシャス」
だから、僕を筆頭とするパーティーとアオイを筆頭とするパーティー。
ライザを筆頭とするパーティーと、あとはハリーを筆頭にパーティーを作った。
パーティーリーダーは僕が今の所、信用を置いている人になる。
「無茶はしないように、それじゃあ探索開始」
とりあえず、僕のパーティーは神田方面に足をのばしてみよう。
今は動いていない線路にそって歩いていると、メンバーの一人が声を掛けてきた。
「なぁタケル、どうしてこのパーティーは君と僕の二人だけなんだ?」
「……それはですね、ランスロット」
「うん、それは? ああそれとも、タケルはあのことをすでに知っているのかな?」
ランスロット――モニカの恋人である精悍な騎士の風情をした男。
グウェンに聞かされた話だと、彼の中にはあの人がいるらしい。
「そうです、僕はグウェンに前もって聞かされていました。貴方の中にいるもう一人の貴方――魔王リィダについて」
「……やっぱり君、ヒュウエルの仲間って感じだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます