第99話 聖地巡礼だお
翌日、昨日は色々とありすぎたが、充実した一日だったと思う。
いうなれば薔薇色の一日、素敵なグレートフルデイ。
その翌日に僕はライザを筆頭に、これから新大陸に仲間と共に向かう。
「ご機嫌よう、敬愛なる王都の民衆の皆様」
王都外れにある敷地の広い草原で、僕らは王女モニカから祝福の言葉をたまわった。
ここはかつて僕が魔王討伐に向かう際に整列していた野原だ。
「え? 本当にモニカ様……なの?」
今回、急きょ一緒に連れ立つことになったアンディの姉で聖女の一人であるメグはモニカの登場にかなり驚いた様子だった。彼女の隣にはお坊ちゃまのような服装をしたアンディがいて。
「本人じゃねーかな、匂いがするし」
「女性を匂いで判別するな!」
「いって!」
彼女はアンディにげんこつをやっていた。
モニカの登場には、良いことと悪いこと、二つの効果があって。彼女が登場したことによってこれまで不安に駆られていたメンバーが急に活気づいたが、モニカの登場によって利権問題を感づいたメンバーは急に息があがりはじめる。
「すんすんはぁはぁ、お、お兄ちゃん、私たちはまたあの人に踊らされるの?」
アオイちゃんちーも、息をアップアップさせ始めた一人だったらしい。
「皆様がこれより、偉業を成し遂げに向かうと聞き、いてもたってもいられず心ばかりの声援に来させて頂きました。向こうに行っても、我々王都は皆さまを後援していることをお忘れなきよう、頑張ってください」
口が達者だな、さすがはモニカだった。
清楚で可憐で、居るだけで一線を画した品格のある雰囲気も、さすがはモニカだった。
「では皆さん、行きましょうか。私が管理する大陸に」
モニカの隣には肩書だけっぽい風体の女神がいる。
彼女から神々しさを奪っているのは彼女が着ている相棒のギリーのせいである。
とは、口が裂けても言えない事実だった。
「アンディ、なんであの人、あの恰好なの? 馬鹿なの?」
そう思っている矢先からアンディの姉であるメグが小言をついている。
「姉ちゃん、一応あんなんでもあの人神様らしいぞ」
「マジで?」
モニカとノア、立場としてはノアの方が位が高いはずなのに!
どうして……どうして!
「では参りましょう、破!」
ノアが僕たちに向かって手のひらを差し出すと、目の前に王都の外壁はなかった。
その代わり、視界に入って来たのは驚愕の光景である。
「……お兄ちゃん、まさかここって」
「ああ、夢でも見てるのかな、秋葉原みたいだな」
そこは、オタクの聖地である秋葉原のような景観だった。
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