第92話 女神ノアだお
一先ず、土下寝を極めた女勇者のノアを連れて、我が家に帰った。
家の一階の窓ガラス越しに、ちょっと成長したアンディが視界に入り。
にわかに緊張を高まらせ、正面扉を開き、ドアベルをチリンチリンと鳴らす。
「遅かったな屑様、おかえり」
「た、ただいま、ドキドキするな」
「なんで?」
「見知った顔とはいえ、アンディと久しぶりに会ったからさ」
「陰キャ臭いこというなよな、だからあんたは屑なんだよ」
誰が根っからの陰キャ童貞キモオタですかお!?
「隣にいる綺麗な人は?」
「彼女の名前はノア、今回召喚された勇者らしい」
「ふーん、珍奇な恰好だな」
「たしかに物珍しい恰好だけど、あえて口にするなよ」
とすると、彼女には新しい洋服が必要だよな?
「ノア、一応ここが僕の家になるけど、君の着るものが必要だよね?」
「一応この服は制服ですから。できれば寝間着とか欲しいです」
制服? 恐竜の寝ぐるみみたいなその恰好が?
この時点で察したけど、彼女の出身は地球じゃないみたいだな。
「とりあえずアンディ」
「なんだよ?」
「マージャ様に言っておいてくれないか、もういい加減勇者召喚辞めたらって」
「屑様は俺の家を滅亡させるつもりかよ、だからあんたは屑なんだよ」
「さっきから屑屑ってしつこいお!」
僕は正論言ってるだけじゃないか。
ノアにはアンディの隣の椅子に腰かけてもらい。
「気を楽にして、いきなり召喚されて疲れてるだろうし」
「お気遣いありがとう御座います」
一瞬、彼女が身に着けている恐竜の寝ぐるみが瞬きしたように見えたが……気のせいだろう。僕は上階に行き、しばらくここはノアやアンディ、それから子供たちに任せてみよう。
……せや、神々の楽園の修行で僕も強くなったことだし。
ここは自分がどれだけ鍛えられたのか見るべく、手淫でもしますかね。
自室が備えられている三階へと向かい、部屋の施錠を確認してっと。
手淫のオトモとして、ステータスウィンドウから異世界サタナのすけべ本を――
「んぁあああああああああああああああああああッッッ!!」
「ノゥ! ハゥ! ハヒ――イヤァアアアアアアアアア!!」
一階からアンディの悲鳴が聞こえ、たまらず手に力を入れたら息子が酷い目に遭った。
「どうしたんだアンディ」
一階に駆けつけると、アンディの上着がズタボロになっている。
「く、屑様……このノアって人、何者なんだ?」
「何者って、説明しただろ、彼女は今回召喚された勇者だって」
ノアを見ると、冷静な様子でお茶をすすっている。
「ああ、違いますよ? 私は勇者なんかじゃあ御座いません」
ホワッツ? じゃあ君は一体何者なんだ。
という僕たちの疑問は、彼女が身に着けている恐竜の寝ぐるみが答えた。
「ノアは神の一柱ですからね」
「そうです、ギリーの言う通り、私は今回新たに生まれた女神です」
ちょっと……意味がわかりませんね。
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