第55話 ヒュウエルの奇襲だお
アンディはその実、王家の血筋だった――これは決して他言してはならない秘密。
直感的にその考えに行き着くと、軒先の通りで多数のモンスターが暴れている。
「っ――結界魔法を解いてくれ、私が殲滅する」
「え? え? お兄ちゃん、ど、どどど、どうすれば?」
ライザは人々が襲われている光景にすぐに躍起になった。
両刃の剣を取り出し、臨戦態勢を取る。
「アオイ、一度魔法を解いたら、またすぐに魔法を掛けろ。表は僕とライザでなんとかするから。その前にライザのステータスも改造してくれると助かる」
「う、うん、わかった」
アオイの手によって親友ライザのステータスも魔改造され。
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プレイヤー名:ライザ
スキル:雷遁
レベル:55
能力値
HP :∞
MP :150000
STR:150000
INT:150000
SPD:150000
LUK:150000
……
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なぜか僕のステータスよりも色が付けられているのが気にかかるが、まあいい。
「じゃ、じゃあ、後は頼んだ!」
そこで僕とライザは外に飛び出て、ライザはモンスターに。
「雷遁――開闢の雷ッ!!」
巨大な雷の雨をモンスターの群れ目掛けて放ち、先制を取っていた。
「ライザ、僕はちょっと親方の様子を見て来る!」
「私は街を駆けまわり、モンスターが居れば排除する、何かあればメールを飛ばせ」
「そうさせてもらうお!」
親方の工房は中央広場に近い東地区の場所にある。
工房に行くには中央広場を抜ける必要がありそうだけど――
「もし、君はたしか、屑スキル持ちじゃないか」
あろうことか魔王リィダに姿を捕捉されてしまった。
魔王は今僕の背後にたたずんでいる。
「……いや、訂正しよう。君はたしか――ヒュウエルの知り合い、じゃないか」
「アヒヒアハハアヘアヘ」
魔王の覇気に、膝がガクブルになる。
「ヒュウエルは今どこにいる?」
し、知らない。
魔王の狙いはヒュウエルのようだが――今彼はどこに?
「……答えろ屑、答えろよ!! ッ!?」
何かが物凄い勢いで脇を通過し、思わず目をつぶった。
すると数瞬おいて、背後から建物が崩落する音が聴こえる。
同時に、誰かが僕の頭に手を置いたのだ。
「平気かタケル」
「その声は、ヒュウエル?」
聞きなれた声がしたので、振り向くと、そこには綺麗な直刃の剣を手にしたヒュウエルがいた。
「お前のおかげで、リィダの警戒が緩み、隙をつけた。礼を言う」
と言う彼の背中は威光を背負っていた。
上は白いシャツに上下合わせた黒のスラックスとノースリーブのベストの格好なのに、背中にはヒュウエルのたくましい筋骨が浮き出ていた。加えて魔王リィダに向けて構える姿勢は鳥肌が立つほど美しい。
「魔王を倒したんですか?」
「いいや、リィダが奇襲の一つで殺されるたまかよ」
――痛いじゃないかヒュウエル……!
ヒュウエルの言ったとおりだった。
魔王は崩落した建物の瓦礫をかきわけ、ゆっくりと姿を現す。
「十数年振りに再会した私にこの仕打ちとは、お前の神経を疑ふぅ!」
「リィダ、お前、今でも俺を友だとでも思ってるのかよ」
魔王とヒュウエルの辛辣な言葉のやりとりを聞き、二人の因縁を感じていると。
「タケル、俺はあいつの相手をする、だから悪いが、周囲のモンスターはお前に任せる」
ヒュウエルは僕にそう言う。
見ると、モンスターが僕たちを囲うように集い始めていた。
魔王の戦場でも見た、モンスターの統制力。
そこから察するにあれは魔王そのもので間違ってなどいないみたいだった。
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