真夏のワンルーム

うだる真夏のワンルーム

扇風機の前の君は

白い肌に汗を弾いて

黒い髪をなびかせる


「君には渡さないよ」

って独占欲を見せるのは

扇風機の風を一人占めしたいから


イジワルな笑顔は

僕の欠点

その笑顔に勝てなくて

いつも汗だくな僕を

君は可笑しそうに見詰めるんだ


「僕だって渡したくないよ」

なんて珍しく反論して

君の隣に身を寄せる


「君のくせに生意気だ」

不機嫌な顔の君は

小さな体を僕に預けて

一人占めできなくなった風を

浴びている


僕が渡したくないのは君で

汗だくで笑うワンルーム

君の肩に顔をうずめて

抱きしめたなら君の笑み

包んでとける二人の熱

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る