夕暮れの電車

不規則な音に揺れる

人混みにゆだねて微睡む


顔を伏せる夕暮れの電車


通り去って行く

車窓の向こう側

手を伸ばす人は居ない


どうしてだろう

押し込まれた現実で

あちらもこちらも

小さな世界に閉じこもる


走る夕陽は静かに潤んで

どうしようもなく

私を見詰めるのに


誰も気付かないから

夕闇が全てを覆ってしまう


ガラスの向こうの油絵が

絵具の香りを燻らせても

顔を上げはしないなら


手のひらの世界がお似合い

顔を伏せる夕暮れの電車

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