第7話『それ、死の化身なりて...』

親睦会から帰ってきて、そのままベットにダイブして、気付いたら寝てしまっていたようだ。今の時刻は午前2時。目が覚めてしまった。というより起こされてしまったというのが正しい気もする。大鎌がふよふよと浮遊して、俺の事を起こしに来て、そのまま連れられるがままに、ベランダへと出ていく。

そこには白い髪を腰あたりに伸ばした女がふよふよと存在している。その女の顔は真冬に降る雪のように白く、鼻が高く、クリクリとした大きな銀色の瞳、肌の色とは違いほんの少しだけ血色のいい形の整った唇をしている。彼女は紛うことなきアルビノである。アルビノ先天的にメラニン色素が欠乏し、白化した動物たちのことをそう呼んでいる。

今日あった巻や優雅は顔は整っている方だがやはり、こいつが1番顔がいいように思える。そいつが俺のことを認識し、一目散にこちらに走ってくる、いや浮遊してくる。そのまま俺に抱きついてきた。勢いは着いていたが、俺に来た力はそこまででもない。俺はこいつを抱き返しながら頭を撫でてやる。すると目を細めて、「気持ちいい」と呟いた。

「しい。」

俺は彼女の名前を呼ぶ。彼女は俺に抱きついたまま、俺の顔を見てくる。頭にクエスチョンマークを浮かべながら、頭を傾げてくる。彼女の仕草はいちいち可愛い。もう一度俺は彼女の頭を撫でてやる。彼女はまた目を細めながら気持ちよさそうな声を出す。ちらりと空を仰ぎみる。そこには紅色に染った完全に満ちた月が、雲の妨害をなんのそのと地上に光を照らしている。満月を見るのは久方ぶりであり、さらにそこでしいが動いているということは、小さい頃から数度、下手すると1、2回程度の珍しいことであり、それが何を示しているのかと言うの数度しか体験してなくとも痛く知っている。

とある伝承曰く

『 それ、大いなる厄災の元なり。

それ、時に祝福を、夢の中でさえも絶望を与えるものなり

それ、夢撃ち砕くものなり

それ、誰にでも平等に降り注ぎし神なり

それ、月満ちし時死者の予兆を知らせるものなり

それ、理不尽に降り注ぐものなり

それ、死の化身なりて、我ら逃げることなどできず。故に何人たりともそれを免れぬものおらず、ただ1つ例外ありて免れることあり。

それに愛されるもの作るべし。』

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