4話 『相澤慎也という男②』
4話
先程の1件から1時間弱後。俺はこれから3年間通うであろう高校にいた。どうやらこのまま案内に従いながら、クラスへと言っていいようだ。この学校はAからEまでの5組があり、1組30人程度で構成されている。俺は、C組らしいので1年C組の教室までスタスタと歩いていく。ここ私立鳳高校は、地元から車で1時間ほど走らせたところにあり、そこそこの進学校で頭良い。さらに俺は高校進学と同時にこちらに部屋を借りている。高校で一人暮らしである。
気づけばC組の教室前まで来ているようだ。中に入るともう和気藹々としていた。まだ来てない生徒も数名いるようだが、来ている生徒の方が多いようだ。座席表を確認し、自分の席に座り、周りを見渡してみる。すると、教室入口側前列の男と目が合った。その男は先程怪異と敵対していた男である。相澤慎也である。彼はこちらを確認するなり、こちらに近寄ってくる。
「冬夜だ。同じ学校だと思ったけど、同じクラスとは運命だね。」
こいつ、名乗っただけですごく馴れ馴れしい。いやまぁ俺もそんな畏まった対応する気は無いのだけれど。
「相澤。運命は言い過ぎだと思うぞ。ままある事だ」
この男、やはり見た目で損している感が否めない。先程ちらりと目を見たぐらいだが、隠している顔上部もそこそこ整っているように見えた。
「髪切れば?」
「それには切れない理由があるのだよ」
その後相澤と内容の薄い雑談を繰り返していた。すると、担任が前方の扉から入ってくる。
「あー、これから1年担任する、湯川直樹だ。よろしくな。んじゃこの後の流れについて説明するぞ。」
170半ばはありそうな男、湯川先生がその後の流れを説明して言ってくれる。その話を要約すると、この後、入学式をして今日は終了とのこと。自己紹介は後日改めて行うらしい。
体育館に行き、校長や偉い人のありがたい長ったらしい話を右から聞き、左に流しながら、適当なことを考える。と言っても考えることはひとつなのだが。そうあの男、相澤慎也のことである。
先程相澤は怪異と一人で対峙てしていた。基本怪異というのは、複数人で討伐に向かう。1人でなど無謀だ。そして、怪異殺しが死ぬ原因は、鬼の怪異がいちばん多いという。鬼の怪異というのは一匹でも強力で、産まれたばかりだとしても舐めてかかっては行けない怪異である。
そんなことを考えているうちに、入学式は終わっていたようだ。
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