W-3 11.7  サブタイトル



「大爆発と見たこともない技により一気に脱落者が出たー!」


「ハルト選手、ビュア選手、リン選手、ミカ選手、ヒヒリー選手が脱落者アル」



「そして生き残った選手達もすぐさま乱戦に突入。一見HP回復があるナユカ選手が有利に見えるけどどうだろう?」


「数値上だとそうアル。…ただ目に見える有利というのはほかの選手のヘイトを集めやすいアルよ」


「なるほど!確かにナユカ選手が狙われてる!」


 闘技場の目の前で繰り広げられる五人と一匹の攻防。激しい弾幕の嵐と動き回る選手達だが、それぞれ動きにも注意して頂きたい。


 とにかく物量と言わんばかりに弾幕を放出しまくり、フィールドを埋め尽くすナユカ。

 そんなナユカの次に魔力の消費が少ない物理攻撃主体で、有利をとるためナユカを早めに落としたいヒカリ。

 そんなヒカリごととにかく誰でもいいので選手の人数を減らし、兵隊人形で全員をこの場に留めている軍曹。

 同じく軍曹の動きを見て好都合と、全員を少しづつ良いようにコントロールし。さらに当たれば凍傷も有り得る氷弾で嫌がらせに専念するユキ。

 そんなユキの凍傷を抑制し、このの任の中で一番の実力者を好き勝手させたくないアキアカネとニワタリ。


 ナユカの弾幕が全員の動きを抑制し、ヒカリがナユカを牽制し、全員を乱戦から逃がさない軍曹、ユキ対策に炎弾を飛ばしまくるアキアカネとニワタリ。そしてそんな全員の戦場を徐々にパレ無い程度に上に誘導しているユキ。


 そんなユキの思惑もアリアは看破したのか…。そんな戦いの場にギルバートが現れさらに乱戦は激化する。



 ギルバート目掛けて攻撃した3人。


ヒカリ

(上から永遠とブレスされたくないため)

ニワタリ

(我が物顔で自分の上を飛んでいるため)

ユキ

(少しづつ誘導してたのがバレてギルバートが現れたため)


『落とす』

『コケ』

『と〜ぅ!』



「目が追いつかない…なにがどうなってるの?」


「あー…。何となくでいいなら解説するアルよ?」



「おねがーい」


「5人とも攻撃を繰り出しながら、自分に都合のいい盤面を作ろうとしてるアル」


「私には隙あらば誰でもいいから落とそう!って見えるけど」


「もちろん。それは前提アルな。ただそんな簡単に隙を晒す、あるいはその隙で致命傷になるようなメンバーじゃないアル」





クロ。ソナタ普通に喋れるだろうに!なぜにキュア?などと可愛子ぶってるコッコ!』


『『え、そうなの?』』




「またとんでもない会話始めたアル…」


 唐突に始まった従魔同士の会話?が会場に響き渡る。片方は「キュア!」としか言っていないのだが…



『…キュア?』


『しらばっくれるなコケッ!』


「え?あの小さい龍も喋れるの?」


「というかそもそもあの鳥がおかしいのだアル…。それにしても「黒」アルか…」


「難しいことはよく分からないけど、そこはゲーム考察組がどうにかしてくれるんじゃない?」


「任せたアル」


 案の定。一部の人間はこの会話を記録済みである。死んでしまったが撮影許可取得済みのビュアも同様だ。



『アキアカネ。上に行くコケ。あやつを物理で落とすコケ』


『あい!先制【飛突槍シュートIスピア】』


 アキアカネが飛ばす槍。それを一瞥し〔結界〕で逸らして見せるギルバート。完璧な角度で張られた結界は物の見事にアキアカネの槍の軌道を逸らしてみせる。


『んな!?ソナタッなぜッ!?昔はただただ魔力を押し付け焼き払うだけの脳筋だったコッコッ!結界なぞどこで覚えたッ!?』


『キュア〜』


「…。やっぱりあの鳥も龍も明確な過去があるアル。RBGのストーリー的な物なはずなのアルがいかんせん情報が少なすぎるアル…」


「昔…って言うと黒龍戦しか出て来ないけど。言われてみればその時の龍はブレスになぎ払いに…。しっかりパワー系だったよねー。そもそもサイズからして違うからなんとも言えないけどぉ」


 そして渾身のドヤ顔で会場へのアピールも欠かせない。実はこの瞬間だけほんの少しアリアの魅力値が下がったのは本人のみぞ知る。なお、本人はなぜ下がったのかはわかっていない。

 魅力値が下がったのはギルバートがかましたドヤ顔により、一部のプレイヤーが…、と言うよりもケモナーや、従魔欲しいガチ勢による嫉妬だったりするのだが…



『いい加減、言葉を話すコケ!何故ソナタはあの娘の従魔なぞしておる!目的も!動機も!何もかも不明だコッコ!』


 2匹の間にだけ生まれる少しの時間。ニワタリの視線から聞くまで譲らない。そんな意思を感じた黒龍は渋々といった様子で口を開いた。


『我、大量の魔力で描かれた…魔法陣に惚れただけ』


 妙に幼い声は黒龍から発せられたもの。その声は会場には聞こえど、アキアカネとニワタリ以外のメンバーには聞こえていない。


「ほ、ほんとに喋った!?」


「静かにするアルッ!」


 まだギルバートは喋りきっていない。雰囲気で察したアルがシェナの口を塞いだ。


『あれだけの魔法。考え抜かれた模様。それを成し遂げた主が…欲しかった』


『なんとまぁ…』


 それからギルバートは何も言わない。言わずにその視線でニワタリを睨む。お前も似たようなものだろう?と。

 少しして会場もざわつきを取り戻しシェナとアルが話し出す。



「これ…」


「従魔…少なくともボスクラスの獲得条件が何となくわかったかも…しれないアル」



 そう。つまりはボスに気に入られろ。ということだ。

 

 アリアもアキアカネも何となく知っていた。その条件。従魔となった時に表示されたフレーバーテキスト。そこに本人たちからの想いが綴られていたのだから。









サブタイトル


 Voices150  ギルバート

「我はなんじに付きい。共に困難を乗り越え、汝がいつか消えてしまうまで、共に有ろう」



 Reunion272  ニワタリ

「我ソナタと共にあり。その先の空へ羽ばたこう。例え、ソナタが消えようと。我とその記憶だけは消えないのだから」

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