W-3 11.2  違ったバトル視点とスキル


『【煌星流姫「ペンタゴンスター」】』



「逃げたナユカ選手!と思今度は大量の弾幕!」


「それよりもユキが!もうすぐそこに来てるアル!!」


『【雪の精霊?妖精?小人は32の槌を打つ】』



『可愛い雪だるまちゃんで攻撃とか人の心は無いのかー!』



 実は割と遠方で既にナユカを補足していたユキ。ただ全員の位置把握、そして一応ナユカ以外のメンバーが仕込んだ仕掛けに近づかないようにという威嚇もしていた。


 だがナユカの視線がこっちを見たので威嚇もほどほどにナユカを落としにかかる。


『ナユカは後半に行くほど厄介だからね〜』


『雪だるまちゃんごめんッ』


「泣く泣く雪だるま攻撃を全部相殺して見せたナユカ選手!ユキに補足されたためさらに逃げる!」


「いや…、見えて動いてるアル!進行方向!!」



 ナユカの逃げる先にいる2人。


『逃げないでよ〜』


『戦略的撤退!』


 2人はお互いの相手をしているためその視界は最低限にしか外側へ向いていない。つまり、ユキとビュアを連れたナユカが高速で接近してきていることに気づくまでタイムラグが生じる。




『え!?なんでそんなの引き連れてるんですか』


『巻き込みに来た!』


『モンスタートレイン…』


「すごい!バトロワの選択肢が多い盤面だよ!!」


「これはナユカ選手が正解アル。ユキをどうにかするなら多人数で盤面の読みにくい戦場にするアル」



「混戦となってまいりました!!しかしこれビュア選手面白いですね」


 そう。観戦からは見えているビュア。だがしかし実際はナユカ以外の4人には見えていない。



『〘集合〙喰らえい!』


「弾幕が!ナユカ選手の攻撃アル!〔集合〕スキルは命令系カテゴリーに属するスキルでなかなか使い勝手いいアル!」


『アイスウォ〜ル』



『〘変更〙』


 ナユカの攻撃がユキを襲う。そのタイミングに合わせてさらにビュアもこっそりとユキを攻撃。



『ッ!?これは…。ナユカの攻撃じゃないね〜?』



 実は予めナユカの相手がビュアなのは把握していたユキ。ただこの時には既に戦闘を離脱し、隠密行動に切り替えるであろうとユキは考えていた。

 が、結果はそのまま戦闘継続。以外にも五つ巴を選択したビュアにユキは警戒度をあげる。さらに声に出してその存在をリンとヒカリに知らせてみせる。


『人が多すぎます。略式【風尾符かざおいノふ】』



『ん…』



 そのことはちゃんと二人に伝わった。これはビュアのことともう1人。意図せずまだこの場に戦闘介入可能なメンバーがいるのではないか?とさらに警戒度をあげたリンとヒカリ。

 とりあえず、見えない何かが居ることはほぼ確定。そして透明化が得意なメンツなどそうもいないため、ビュアをあぶりだす弾幕が密度を増していく。



「ビュア選手速攻でバレたか!?」


「これはユキ選手。判断が早いアル」



 ここでヒカリが近距離戦を仕掛けに動いた。これを好機とみたミカがその巨砲を放つ。


「なにーーーーッ!!!遠距離ビームッ!ミカ選手の攻撃だァァァ!!」


「…?…?!全員躱してるアルッ!?」



『私を見てないからなにかいるのかな〜?と思ってたらミカちゃんか〜。その距離で見えるって…ナユカ〔遠見〕スキルなんて持って無いよね〜?』


『花のおかげかな?』



「なんで全員生きてるの!?」


「視線で…てそんな超人じみたこと普通にするなアル!」


 ユキは位置だけ把握していたため、半分ナユカの行動で予測。

 ナユカは見えてた。

 2人は偶然にも警戒していたため対処が間に合い、ビュアはそもそもミカに認知されていない。


『ん。油断』


『ッ!』


「あ!?ナユカ選手にヒカリ選手の一撃が綺麗にきまったーぁ!」


「〔防御〕が間に合ったかアル?まださすがに生きてるアル。でもしっかりヒカリの追撃が…」



『略式【破邪符はじゃノふ】ッ』


「今度は何が!?リン選手の攻撃ッ…!!攻撃?」




 見た目の変化は一切ない。だがしかし…


「あの技。〔略式〕〔音波〕〔条件〕〔呪術〕〔初撃〕が使われてるアル」



「〔呪術〕?」


「ナユカのステータス。魅力値が下がったアル!ついでにユキの妖力値も」



『…詠唱する時間は無いですね…。略式【魔弾符まだんノふ】』




 さらにナユカを逃がさないように弾幕をばら撒く。


「これじゃあ〔ジャンプ〕すると攻撃に当たって!」


『〘細分化〙』


「リン選手はあくまでもサポートタイプの選手アル。だからあくまで決定打にはならないアル。それでもここまで立ち回れるのは並大抵じゃないアル…。相手が相手なら尚更…」



『もう!みんななんで私狙うのさ!?』


『1番残したらダメだからね〜』


『ん。素早く。最優先』


『アインズはしっかり対策してきました』



「んー。これはひどい」


「ま、当然アル…」



 逃げ場のないナユカ。ただしそれは完全に追い詰められた訳では無い。


『【桜赤清華「フラワー ビューイング」】』


『お?』





「髪色が!!」


「スキル…使用なしアル!?」



 実はスキルは使っていないナユカ。〔ジャンプ〕〔スーパーアクセル〕はその後に使っているが、これは本来必要のない技名の呼称だ。


 自身の力をそのまま使うナユカ。今現在このバトルを見ている全ての人たちの周りに❨エドヒガン❩の花弁が現れ…。そしてどこかへ飛んでいく。


 現実のナユカの周りに現れた花弁がさらに吸い込まれるように溶けて…







 那由花の認識能力と思考能力が人外の域へ突入したのだった。

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