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「それでナビィ、那由花の様態についてなにかわかったか?」
『はい。姫は今回の騒動で覚醒に至りました。本来の覚醒と違い。「花の約束」特有の力の数値が安定していないのが不安要素です。逆に言えばそれだけなのですが…』
「では那由花の体に異常は無いと?」
『目立った外傷もなく、体の機能は以前とほとんど差異はありません。ですが、力の数値だけは不安定ながらも常に相当な高さを記録しています』
「以前と比べるとどのくらい違うの?」
『以前半覚醒状態の姫の数値は200 です。今は600〜750の間をフラフラと行ったり来たりを繰り返しています』
「明らかな異常ねー…」
「歴代にそのような症状は?」
『ありません。力の数値は基本。本人の成長に合わせて少しづつ数値が上がります。それも、ほんの少しです。200 の時点で歴代最高値の姫の場合。予想では230前後で止まると予測していました』
「ちなみに私は157ねー?」
『このように花恋様でも相当高いのですが…。現在の姫の600 はそもそも安定していたとしても異常値になります』
「原因もわからずにだな」
「はい」
『このように、姫の現在の力は未知数な点が多く。さらに姫の報告では❨イチゴ❩だと思われていた花が異なる花の可能性が高いです』
「確かに…。イチゴだとピンクじゃないよね〜…」
『これは姫に聞かないとわかりませんが…。目覚めた時に散らばっていた桜…。品種としては❨エドヒガン❩がおそらく姫の花なのではないかと思われます』
「だがしかし、今までは瞳が赤く染まっていた。赤は桜では無いだろう?」
「花が変化した〜…とか?」
「それはないわねー。そもそも変わることがありえないわー」
『1人1輪。これが「花の約束」です』
「結局分からないことだらけか…」
『また、他のプレイヤー。私がセルフでログインして頂いていた、ハルト様、ビュア様、アリア様、ミカ様、ヒカリ様、アキアカネ様の周りには同じく桜の、❨エドヒガン❩の花弁が散らばっており、姫の気絶とともに消失を確認致しました』
「他の人の周りに…」
『今回の戦いに参加したプレイヤーは全てそのように周りに桜の花弁が散っていたと報告を受けています』
「全員か?」
『いえ。1名、私の力をほとんど介さずログインし、システムを外側からハッキング。外部接続先を特定した後。姫の戦闘中に現実側の男を捕獲したキリア様はそのようなことはなかったそうです』
「さすがだな。1人でそれをやったのか?」
『いえ、当時この事態を危惧していたマザーより、少しだけですが、下位AIの命令権やシステム実行権を与えられていたAIが、敵の支配から抜け、RBGのゲームとしての最低限の機能を保持していたことが確認されています。キリア様はそのAIを味方につけ、ことに及んだそうです』
「なかなかやるわねー」
「なんて教育してるんだか…」
『はっきり言えば天才ですね』
「さすがキリア〜、やっぱり動いてたか〜」
「君の家のものは昔から変態みたいな天才が多いからな。君の父を含め」
「それほどでも〜」
「…」
『そのキリア様だけは桜の花弁が出現することはなかったそうです』
「あの時、戦っていた者だけか」
『恐らくそうかと』
「ますますよく分からない力だわー…」
「私的には、那由花が力を使った時から明らかにみんなの速度が上がった…。くらいしか感じなかったなぁ〜」
『速度だけではなく、髄力や、思考能力、反射神経や、観察力なんかも全体的に上昇傾向にありました。あと、士気は高かったですね』
「わぁお〜」
「600 もあってそれだけなのはおかしいわねー…」
『ですがゲーム内のシステム的には何も起こっていなかったことを考慮すると、それだけリアル側の身体スペックが上昇していたのでは?と考察しました』
「〔魅力〕の現実版?」
『はい。その例えがわかりやすいですね。また、最後は姫様本体の身体スペックが超強化されていました』
「…」
『姫が力を使用していた時、太陽系全体の人間から、キラキラした粒子が出ていたようです。このことから、力の源は世界中の人々だったのでは?と考察しました』
「力を分け与える。或いは集める。といったところか…」
『おそらく』
「人と人の戦争だと相当な力になりそうだな…」
「剣と剣の戦いだと負け無しじゃないかな〜」
「今でも充分強いわー…。出来れば、可愛い能力が良かったのだけどねー」
『やはりまだ謎な部分が多いですね』
「今後の様子を見て判断しなくてはな」
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