EC:208  サービス終了の危機





「今回の騒動ででた弊害と今後の課題は?」


「はっ!まず今回のAI完全ダウンにより、約98パーセントの施設、住居の電力供給が停止しました。それにより施設では、システムダウンや、設備故障が多数報告されています。ほとんどの工場ではすぐに再稼働は不可能との事です」



「AIか…」



「都市機能を止められた弊害は思ったよりも大きく。今回1番の被害は水中都市アクアシティでしょう。1部システムダウンにより水没。死者も出たそうです。今もまだ1部浸水しているとの事。また、浸水していないところでも、故障が相次いでいるため、住人は緊急避難をしています」


「最悪だな」


「いえ…。プレイヤー達のおかげでこれだけで済んだという意見の者が多いようです…。予想ではプレイヤー達がマザー奪還をしなければ、都市単位で数十の都市が壊滅していたという予測でした。海底都市などは酸素供給なども止まっていた訳ですから…。各地にある衛生軌道ポータルが落ちてくる危険性すらあったのです。それどころか…。電力発電も止まっていた訳ですから、無事だったAIもじきに機能停止に追い込まれていた可能性すらあり、惑星軌道維持が出来なくなるところでした。迅速な対応のおかげで我々は助かった…とも言えるでしょう」


「無事だったAIがいたと言うが、そのAIはどうして無事だったのだ?」



「まず無事だったAIは全て惑星管理AIでした。その中でも重要な施設。特に大都市部の統括監視AIなどのAIを監視するAIが各々の判断でAIリンクを切断したそうです」


「監視AI…。異常を検知する能力に優れていたというわけか」



「はい、しかし下位のAIへの命令権はほとんど有しておらず、異常を検知した時にはもう既にほとんどのAIが落ちていたという状況だったと報告されています」



「AIに頼りすぎるのは良くない…。でもAIがないともう社会が成り立たない。そこを敵につかれたわけだ」



「課題は今回のようにAIを止める、或いは支配下に置かれると我々はなすすべが無いという点ですね…」



「まあ、今回は特殊だったからな…。1番先に落とされたマザーがよりにもよってAIの判断で作成された防衛機構だったのだからな…」



「Reality barrage gamers border test program…でしたか」



「その情報もどこからか漏れていたのか?」


「全てではないようです。取り調べによると、マザーが特殊かつ、そういった今回の騒動を起こすことが可能と判断してマザーに狙いをつけたようです」


「RBGがゲームとして一般に浸透していたからな。それに他AIが必要に応じて、プレイヤーの状態を知れるように情報を共有することもできる。この機能を使って少しづつデータを集めたのだろう」



「そのようです。あと他にも、万能翻訳機や事前にある程度わかる何かしらの方法も用いた。と、されています」



「よくもまあ、それを17歳が成し遂げたな…」


「かなり頭はキレるようですよ?」


「だろうな…こんなものかな?」




「はい。今のところは。後日、米嶋家、朝霧家のお話も伺う予定です」


「米嶋博士か。娘さんの那由花嬢…。いや、姫様か。姫は未だ目覚めず、か?」



「そのようです。身体的な疲労などは取れたようですが、何故か目覚めない…と。先の件の特殊な能力による反動と考えられています」


「彼女がいなければ、今の我々はない。できる限りサポートしてやってくれ」


「言われなくとも」



「さて、次は今後のRBGについてだな…」



「それなのですが、世間体的にはもうサービス終了が妥当でしょう」



「あれだけ問題を起こしたのだ…。仕方ないだろうな…」



「マザーもその点はわかっているようです。既にその準備や後始末に取り掛かっているとも聞いています」




「あれだけの人気ゲームだ。とても残念だ…」



「はい。私の楽しみが減るのは悲しいです。どうにかできませんかね?」




「そ、そうか…。我々では無理だな…」



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