581:苦戦
「そもそも、なぜ、多くの迷宮から
「現状も……判っておりません」
(さらに「全」迷宮から魔物が溢れたっていうのは当然判ってないな)
(ショゴスだって完全に把握してるわけじゃ無いだろ?)
(感知出来た範囲全て、掌握した迷宮からの情報から、だな。あとは、松戸からの報告の綜合情報で。確かに全てかどうかは判らない……そうか)
(ああ。魔族大陸の迷宮を含めなければ、「全」とは言えないだろう?)
ということで、空を飛んで向こう側に渡る。ぶっちゃけ、不便だ。
が。どうにも出来ない。
確認してみると……ショゴスの言うとおり、「全」迷宮から魔物が溢れた様だ。こちら側の迷宮からも見事に魔物が溢れ出し、
というか、魔族大陸は……人族大陸よりも酷い状況に陥っていた。
アムネア魔導帝国の北の都市(名前知らず)が多くの魔物の襲撃を受けている。囲んでいる魔族。抵抗は続いているようだが……その数が凄まじい。
(なんだこれ。なんで、こんなに魔物が溢れてる? 人族側に比較して、多すぎないか?)
(多い……な。約三倍といったところか? そもそも、魔族は人族よりも能力が高いと思うのだが……それがここまで押される?)
ショゴスの言うとおり。魔族はほぼ全員が魔力を持ち、魔術が使えるため、固体戦闘能力は確実に人族よりも高い。人族にしてみれば、全員が魔術士で、その上に、剣が得意な剣士とか、魔術士なのに商人とかもいるわけだ。
まあ、つまり、その辺の都市に居る……それこそ、宿屋のおばちゃんとかも、何かしろの魔術を行使可能なわけで……人数で余程の差が無い限り、総力戦になれば魔族の方が強い。
(普通、こういう場合、魔族の方が生殖能力に劣るんだと思うんだけど……そうでもないよな?)
(人口の規模としては若干魔族の方が上……だな。さらに奴隷として使われている人族も相当数いるから……奴隷を全面に出して盾にしている間に、魔術で攻撃……完璧なやり方だ)
(ああ、そういえば、深淵の森を超えて来たヤツラもそんな感じで森を抜けたとか言ってたっけ)
(こちら側の方が溢れている魔物のレベルが数段階高いな……)
(人族の?)
(ああ。少なくとも……あそこにいるのはハイオークの亜種でも強いヤツだ)
深淵の森が近いからか、この周辺の魔物は元々それなりに強い。というか、人族側と同じ様な魔物がいると思う。
それこそ、この周辺であれば、ハイオークだ。それこそ、カンパルラ周辺の森と変わらない。
(今回の
(ああ。武器持ちや、呪文を唱えるヤツもいたから、ソードハイオークとか、ハイオークマジシャンとかそんな名前で呼ばれていたな)
(そいつらだって、レベル的にハイオークよりはちょい上なワケで。まあ、
そりゃ……苦戦するか。うーん。
(どうする?)
(正直、俺自身は魔族にそこまで怨みはないんだが……ヤツラ、頑なに人族は劣等で奴隷が相応しいと狂信して譲らないからな……その狂信の謎が解けない限り、力を手に入れたら即、人族大陸に攻め込んでくると思う)
(ああ。来るだろう)
(なら、このまま、人口を減らしてもらって、根本的な生命力を削っておくのが上策かな……)
(人族を奴隷化することに反対、反論する魔族が一人も居ないのは……)
少なくとも……種族全体に仕掛けられた、洗脳とか呪いレベルの仕置き。それはもう、ね。誰がした……なんて、明らかだ。そんなのと対抗しよう、戦おうなんて考えたら……最低でも同じレベルの味方が必要になるだろう。
(シロ……が復活してくれないと最低限の諸情報ですら手に入らないか)
(そうだな……うん、なんていうか、私も全リソースをサノブの迷宮のOS復活に傾けるべきだと思い始めた)
見なかったことにして……帰るか。
(賛成)
「ということで。魔族側の迷宮も判る限りで
帰りも空からあっという間だ。迷宮内転移じゃ無いから遅く感じてしまうだけで。
「そうですか……被害の方は?」
「ああ、それな。魔族側の方が被害甚大に見えた。というか、あちら側の方が
「そうですか……ということは、しばらく人族大陸への侵攻は行われないということでしょうか?」
「そう思いたいが……うーん。ちょっとイロイロとこれまでの事例と関係の無い事、ハプニングが多すぎて、何が起こるか予想が付かない。だが、これまでの東と西からの侵攻の様に大規模で計画的なモノは「無理」なんじゃないかな?」
「了解いたしました。アーリィにも伝えておきます」
「ああ、そうか。「腹黒」にも伝えておいた方がいいか」
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