570:スケジュール会議
「ということで、ダンジョンシステムの再起動を優先して行動しようかと思っている」
「そうですね。正直、日本……地球世界の動勢も気になりますし」
「アレですよね? 御主人様が米国全体を脅迫して日本政府もガンガンにやってさっさと帰ってきた……所でお話がストップしてるんですよね?」
森下。言い方。
「まあ、そうだな。正直、不便で仕方ない」
「ただ……」
「なに? 松戸」
「あの……魔族の侵攻……も気になります。あちらの目的は人族の奴隷化。人的資源の確保の様です。しかもそれはかなり、必要に迫られている様に感じます。実際に魔族の都市を訪れていない自分がそう思うのですから、実際に、何か、どうしてもそれをしなければいけない状況なのではないでしょうか?」
「……そう言われてみれば……そうだよな。こないだ行ってみた感じだと、その辺の……人族への侵攻理由っていまいちハッキリ判らなかったけど……」
「確か、新興国への対抗……でしたっけ?」
「ああ。えーっとまず、直接、ローレシアに攻め込んで来たアムネア魔導帝国はクロトネア真正帝国に攻め込まれていて、その状況を逆転したいと思って派兵したんだったかな?」
(そうだ)
「で。そのアムネアも、クロトネアも、両方とも東の新興国であるシファーラ魔導合衆国の勢力拡大に抵抗姿勢を見せており、何かと対抗せざるを得ないって感じ……かな?」
「そう聞くと、やはり、国同士のプライドの問題というか、正直、何か中身のある派兵とは思えない……わけですが」
「気になる?」
「はい。なんていうか、何か情報が足りてないというか。根本的に、魔族の国同士での諍いなのであれば、別にどうでも良い……と判断するだけなのですが」
「松戸が……気になっている部分がどこにあるのか。、良く判らないが、そこまで言うのなら、何かあるのかもな……」
正直、松戸の知識、知恵、分析能力は俺が知っている中でも群を抜いている。彼女に勝てるのは……多分、「腹黒」閣下くらいなもんだろう。正面から戦った事無いから、単純な比較は出来ないのだけど。
「何か、キッカケになりそうな要素は?」
「魔族地域……いえ、大陸? とでも言えばいいでしょうか? の東側。シファーラ魔導合衆国の実情が判ればと思います。西側の……君主制国家の実情は、御主人様からいただいた情報で十分でしょう。東側の共和制らしき連邦合衆国……の情報が欲しいです」
……確かに。所属軍隊と戦ったけれど……合衆国の兵士、魔族とは直接会話していない。情報収集に関しては、捕虜となった者たちの尋問や各種交渉なんかは全部、陛下、閣下に丸投げしてしまった。
(あの時、誰か一人二人、確保して、直接尋問くらいしておくべきだったか?)
(一兵卒から、その辺の周辺情報を入手するにはある程度心を許しあわなければ無理なのでは無いか? 脅して強引に聞いたところで、得られるものはタカが知れている。そう考えると、あの時、サノブにそんな時間、手間をかける時間は無かったと思うが)
まあ、そうだな……。
「判った。確かに一理どころか十理ある。よく考えなくても、魔族が再侵攻するとすれば、あっという間に修復されてしまった「無限大障壁」よりも、こちら側、深淵の森を踏破して攻め込む方が、成功確率は高い気がするよな」
「はい。まあ、アレは一時的に深淵の森が穏やかだったという幸運があった様ですが、力技で……それこそ、支配した国の者たちを森に追い立てて、生け贄として注意を引いて、その隙に……という」
俺が……大暴れした結果、深淵の森の魔物が超減少してた件については誰にも言ってない。内緒だ。
(うむ)
(な)
「ドラゴンはさ、それでどうにかなるかもだけど。あの甲殻虫の魔物はそんな一筋縄じゃいかないんだけどなぁ……。人海戦術的に、肉盾として奴隷をばら撒くなんていう非人道的な事をしても……」
うーん。容赦しないだろうなぁ。虫は。
「それと。魔族大陸にも迷宮があるのなら……それであれば、向こう側の迷宮を掌握してしまえば……転移ポイントとして使用可能になるかと」
「そうか。確かに」
向こう側に迷宮……か。というか、まあ、あってもおかしくない……し、当然ある……よな? 魔族の商人と話をした時も……迷宮の話題にならなかったな。
(そういえば……魔族側での迷宮の魔力……記憶に無いな……)
え? そうなの? 魔族側には迷宮が無いのか? そんな事あるのだろうか? 無限大障壁にしても、魔族に対する情報は……もっと知っておきたかったなぁ。まあ、シロもいまいち把握出来てなかったか。確か。獣人の情報を検索していて、初めて、魔族に関する情報が手に入ったとか言ってたな。
「魔族大陸に迷宮があるかどうか……は現状、わからないな。シロがいれば即答えが出たかもしれないんだけど。あ。そういえば、シロは魔族の生息域と言ってた気がする。そっちで呼ぶか。魔族のエリアとか、地域とかは、魔族生息域。そして、魔族の国がある台地は魔族大陸で統一な?」
「了解しました。魔族生息域、魔族大陸」
「まあ、そんな手間でもないから、ちと行ってくるわ。で。確認して……迷宮探して、それほどスゴイ迷宮で無ければ、掌握もできるだろうし。帰りも楽か」
「畏まりました」
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