569:ハイエルフ
俺がエロい事に対して、あまり興味が無い、ムラムラしにくいのはハイエルフの種族特性である【生殖力小】のせいだと思っていた。
が。
もしかして、【生殖力小】以外の特性……【冷静沈着】【合理的】【非協調】の合わせ技で、異性に対して距離を産み出し、ここで手を出すとクソ面倒くさくなると判断し、落ち着け。それがお前の本当の気持ちか? と何度も確認する内に、性欲が萎えていただけ……なんじゃないだろうか?
だって。【生殖力小】が性的興奮が少ないという事では無い方は確実だからだ。ぶっちゃけ、うちの女性陣とそういう行為に励む場合、普通以上に頑張れているから。
それこそやってみるまで判らなかったが、複数を相手にしてもそれなりにいけてしまっている。そもそも、性欲自体が小さかったら……興奮状態にもならないんじゃないのかなぁ。良く判らないけど。
ということで、俺は出来ないんじゃなくて、面倒なコトになるから恋愛関係に手を出さなかった説が濃厚になった。
そうなると。【生殖力小】の意味は?
帝国で「腹黒」閣下と話をしていた中で、彼らに聞いたハーフエルフの特徴が当てはまる気がする。
「エルフの血を継ぐ者は寿命が長い代わりに、子を為しにくいのですよ」
「つまり、長期政権になりやすいけれど、暗殺などに弱いと?」
「ええ。しかも大抵が一人です。兄弟がいるのも珍しいのです。陛下が……無茶をしがちなのも、私がいるから大丈夫などと考えているからで……」
野営馬車で、そんな会話をしたのを思い出した。
うろ覚え知識であれだが、確か精子にも性能があって、元気の良い精子が少ない症状なんてのも合ったはずだ。不妊治療がもの凄く大変で、涙を流しながら酔う度にグチを言ってた友達がいたな。
……そうか。俺の【生殖力小】は妊活しても子供が出来にくい体質ってことか。彼女がいたときに計算違いかなんかで何度かそういう感じになったけど、一度も検査薬の赤線を見る事が無かったもんな……。
「あ」
というか、そういう……エロエロなアレに気を奪われて、本気で忘れていた。失念していた。大事な事。
(ショゴス、うちの迷宮システム解析の進捗は?)
ぶっちゃけ、ローレシア王国よりも大事なのはこっちだろ。
(すぐに報告しなかったことから判ると思うんだが。現状何一つ新しいシステムの再起動に成功していない)
(そうか。即教えてくれても良かったのに)
(……まあ、うん。お盛んだったので……非常に。で合ってる?)
(……すまん。合ってるよ……。そうだな。温泉から戻ってそのままか)
(食事の時もガツガツ食ってたからな。夢中っぽかったから、控えた)
ああ。なんていうか……
(ハイエルフとはいえ、サノブは人間社会で育っている。その手の……戦闘等の極限状態での心理的な葛藤は人の本能に近いのではないだろうか?)
そうか? いや、そうだろうな……なんていうか、「腹黒」と陛下、ハーフエルフの二人から感じたのは、エロからの離脱だ。なんていうか、あの二人が異性関係、恋愛関係で泥沼展開とか発生させる未来が思い浮かばない。
それこそ、女性の巨乳やお尻が目の前にあれば、つい目がそこに向かってしまうのが、男として普通だと思うが、あの二人にとってはどうでも良い事なんじゃないかな?
正直、ハイエルフなのに、俺の方が……見てしまうだろうなぁ……という確信がある。恥ずかしながら。
(とりあえず、今回再確認できたのは、最初に大きく、ドカンとエネルギーを必要とするのは間違い無い様だ)
(そこは変わらずか。掌握もしたのになぁ)
(この迷宮システム、ダンジョンコアに流れ込んでいるエネルギー……まあ、神力は以前より増加しているし、なんなら数倍になっているのだが。よく考えなくて、ここのシステムが大きすぎる)
贅沢、過保護システムっぽいもんな。確かに。ロゴブロックを使って迷宮を作れたり、それを3DCGっぽくデータ化できたり。この迷宮管理システムを実装した迷宮なら、俺以外の
不老不死とか狙って
(それは偏見強すぎでは?)
(だって、そこに至るまでが苦行すぎてさ。聞くだけで。心壊れるって)
(まあ、うん……確かに)
つまりは、俺の迷宮の基本システムが普及して無くて良かったと。そういうことにしておこう。もしも俺よりも経験豊富で強い
(しかし……レベルを上げたいな、経験値は溜まってるし、一部スキルは既に拡張されてたりうするからなぁ)
(
そうなんだよな。特に錬金術士は……うーん、まあ、今よりも高位のポーションが作れる様になれば……戦力アップは間違い無いし、欠損回復も確実になるだろうし……何よりも、複雑な症状の病や怪我も治療できる薬も作れる様になるかもしれない。
今、俺が作れる一番上のポーションでも何とかなるかもしれないが……まあ、うん、施術を行うのは怖すぎだよな。
何よりも、現状、対魔族として考えた場合、「腹黒」を失うのは、勝率を五割以上下げるのは間違いないからな。
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