568:気付けば。ハーレム。

「はふ~」


 管理室間の転移で帝国中央の大森林から、瞬間で帰還した。


 そして、メイドズ達に帰った挨拶とかその辺もそこそこに、一直線で温泉にドボン……だ。


 ここは俺、個人宅である。今日はかけ湯も何も無しだ。……掛け流しで常に溢れている湯は俺の汚れくらいあっという間に流してくれるだろう。


 ああ、そういえば……ここの廃湯……温室栽培とかで使用出来ればいいのにな……。

 現状は、カンパルラ近郊の地下に穴を開けて、そこにしばらく滞留させている。これで汚れを沈殿させて、ある程度天然のフィルターに通してさらに汚れを排除して、その上で非常に深い位置にあった地下水系に戻している。


 無駄に拘った。うん。後悔はしていない。


 温泉で手足を伸ばしに伸ばして……うん。用意してもらったレモン水の様なヤツを飲んで……。


 まあ、うん。執務室の椅子に座った。


 待ってました。とばかりに、まずは、松戸からの報告だ。


「ハーレイ帝国ではいかがでしたか?」


「んーまあ、イロイロあったかな。まあでも、俺の状況はとりあえず、後でいいよ。温泉に直行できるくらいの余裕があった事案ってことだからさ」


「はい。とはいえ。カンパルラ、及び、ローレシア王国は内部体制の粛清、統制、内需拡大と富国強兵の方向で動いている……と言うこと以外は、正直、劇的な変化はございません」


 まあ、そうだよな……向こうの世界……現代社会のネットニュースが数時間毎に更新されるっていうのがおかしいんだよな。行政や国の動勢なんて、数十日単位だと思うんだよな。何か進捗情報に変化が生まれるのって。特にこちらの世界は貴族社会なわけで、あれ、本格的に動かそうとすると、無駄に時間かかるからね。


(そういうものなのか)


(儀式って勿体ぶるほど時間がかかるのよ)


 ということで、まあ、うん。森下、松戸が甘えてきたので数日休暇ってことで休むことにした。アーリィは忙しく国内中を動かされているらしい。まあ、そうよな。女王陛下自らが動き回る訳にはいかない。懐刀として……まあ、文字通り、生き残っていた革新派(かな?)だかの貴族残党一族をぶち殺しまくってる様だ。


「なんでも……女王陛下はお許しになったにも関わらず、再度抵抗を考える者たちが多い様で。尽く、二度目は無いってことで、粛清だそうです」


 それは荒んでるかもなぁ~。俺なんかよりもアーリィの方が重くて大変そうだな。


 松戸、森下はここぞとばかり身体を押しつけてくる。さらに、料理関係の仕事を完了させた後に、マイアも加わってくる。正直、まだまだ若いんだから、将来に取っておけと説得したのだが、全く俺の話など聞いてくれなかった。


 そんなことよりもお情けをください……と強引に迫られ……というか、酒を飲んで朦朧とする意識を楽しんでいた夜に、森下がベッドに入ってきた……と思って触りまくったら、アレ? なんか違う……あれ? マイア? てね? 


 ぶっちゃけ、そこまでお膳立てされてしまうと、恥をかかすのもなぁ……というのもあって、いただいてしまった。最初にここに来た時は15歳だったけど、魔族の襲撃時期に16歳になっている。

 俺の心の枷となっている日本国憲法的に結婚可能な年齢となったのも大きかったかもな~。え? 親の承諾? 聞いたさ。こちらの常識とか良く判らないから。お世話になってるからね。ハルバスさん夫婦には。


「え? 何か娘の身体にマズイ部分でも?」


「何よりも、サノブ様にお仕えしたい、御奉仕したいという事でしたから……可愛がられるのであればもう、お願い致します」


 こちらの世界の親の……強い者に従う、庇護を願うやり方っていうのは……なんていうか、うん、ちと極端に感じちゃうね。


 まあ、そういう事があったその日以来、マイアの笑顔が本当に綺麗だと思う様になったので……なんていうか、俺が何かイロイロと言うのは意味が無い気がして。


 これに今は居ないけどアーリィにも手を出してるわけで。うん。ね。ほら。ハーレム。


 なんていうか、俺、異世界堪能しちゃってるじゃん……。


「それが運命だったのですよ~こっちの世界だと、正妻とか側室、愛人とかもう、なんていうか、グチャグチャみたいですし~何でもありですよ~」


 森下さん……。まあ、確かに、こっちの世界は貴族社会でも、夫婦制度に対する法整備なんかは非常に甘い。男も女も結構同権だし、場所や人によって、男が強い、女が強いが変化する様だ。


「多夫多妻制度って感じでしょうかねぇ?」


 うん。揉めたりする度にイロイロとその都度考えるって感じみたいよ。だから、まあ、女王が即位したときも、女だから……という理由での反対派無かったみたいだし。まあ、そりゃそうか。こっちの世界って男と女の筋力差なんて、魔術で簡単に凌駕できちゃうもんね。


 性別関係無く、己が天職を早めに見抜いて、そのスキルを磨いた方が賢いし、強く、成長もできるハズだ。


 と、ここまでダラダラとしていて、考えみたら。俺。異世界ハーレム満喫してる……。恐ろしい。いつの間にか。




 

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