560:赤い
熱さ問題を解決した後は早かった。
三十階層、四十階層普通に突破。元々、迷宮の階層出口、次の階層へ通じる場所が
というか、階層の構成や魔物の出現パターンが……明らかに二十階層位のコピーになっている。
ボスまで一緒だ。
ただただ、繰り返しているだけだ。
(正直、既に、自分が何階層にいるのか判らない。ショゴスがいなかったらヤバかった……な)
(確かに、さすがになんていうか、手抜きでは? と思わざるを得ない)
(コピペ……だな……そうか。コピペというか……これさ、作成途中だった……ってことは?)
純粋に、階層の地形まで一緒っていうのは……もしも自分の迷宮がこういう状態になっていたら……と想像すると……。
(迷宮を作りかけていた?)
(ああ。太古の遺跡らしく入口周辺はボロボロだったけど、中はもの凄く綺麗だったし。迷宮っていうのはそういう物かと思ってたけど。それに二十階層までは……徐々に暑くなるとか、魔物の配置が凝ってくるとか、迷路が複雑になるとか、スゴくちゃんとしていた様に思う)
(そう……だな。確かに、そんな感じがするな)
謎が解けた!
解けた……ので。
(んじゃ、さっさと掌握しようか)
(そうだな。見切ったってことで探索は切り捨て、最短距離で進もう)
そこからのペースが異様に速かった。
まあ、うん。正解ルートが判る上に、罠のパターンもほぼ一緒。魔物にも慣れた。
数時間で最終階層の八十七階層……に到達した。
(なんか中途半端というか)
(魔力だかレベルだかの限界と関係があるんじゃなかったか?)
そうだっけ? 階層ってそういうものだっけ? 忘れちゃったな。あ。そうだ。シロに言われた気がするわ。階層はレベル分って。
(つまり、この迷宮を作りかけていたのは、レベル87の
(そうなるな)
というか、純粋に……これまで俺が掌握……いや、中に入ったことのある迷宮は自然発生系ばかりだったからな。
そうかぁ。やはり、人の手の入った迷宮ってことか。見分け方ってそういうところで……。
(ん? というか、自然発生系の迷宮だって、中途半端な階層で終わるんじゃ無いのか?)
(そうなんだが、迷宮の中ボスは大体十階層毎に存在する。ここもそうだし、他もそうだと思う。これは、自然だろうが人工だろうが、迷宮システムの基礎に、そう組み込まれているからなんだと思う)
(そうなのか)
(多分、十階層毎に中ボスを置いた方が、迷宮が安定する。イロイロ自由にできるサノブが特殊だと思った方がいい)
ああ、システム自体が複雑で不安定でとか言ってたな。昔。
(だが、当然、中ボス、ボスを配置するのは非常に魔力を消費してしまう。なので、十階層が出来た所で魔力が尽きて……そこが最終階層になる……というパターンが多いのでは?)
なるほど。自然……いや、天然モノの迷宮の最終階層が区切れが良いのはそういうことか。
まあ、最後くらいは……アレかな? ちゃんと大ボスくらい設置してあるのかな?
これまでのボス部屋と同じ様に……扉前に安全地帯? っぽい、順番待ちスペースがお出迎えだ。
(中に入ったらこれまでの……リザードマン亜種沢山パターンは勘弁して欲しいなぁ。もう飽きた)
パァ……と。ボス部屋の扉に足を踏み入れた先は。巨大な空。というか。
(ひろっ……火口……カルデラ形状の巨大な火口。向こう側の崖状になっている壁が見えないぞ?)
(そうだな。とはいえ……無駄にこの広いスペースを用意すると思えないんだが……)
オオオオオオオオオオオオオ!
グギャーだか、グオーだか判らないが、雄叫びが……響いた。重低音。そして……【威圧】。結構な……プレッシャーだ。
巨体。そして赤。これだけ大きな……質量があるにも関わらず、風は大して発生してない。
(おお~)
知ってる。俺。これ知ってる。
LLカテゴリー……。
「レッドドラゴン!」
オレの買ったロゴブロックキットの中のフィギュアの中でも別格だったヤツ。
(でかいな)
(でかい)
全長……100メートル近い……のか? 100は無い様な気がする。翼の端から端だとそのちょい150メートルくらい? いや、なんかもう、この地形と火山の熱とで遠近感狂ってて良く判らないな。比較対象に東京タワーとか設置しておいてくれないと。
まあ、そうか。火口……熱い。火属性。その究極体の魔物が……こいつか。
オレじゃ扱えないってエラーが出たんだっけ? レベル100越えなんだと思うんだけど……というか、そんなのがなんで、あのキットに入ってたんだ?
(格好良かったからいいけど)
……客曳きというか、俺を引付けるための……ハッタリ格好つけだろうか? あれ? このドラゴンを配置できるってことはここの
(……こいつ強いぞ?)
(ああ)
まあ、考察は後回しだ。正直……これまで戦ってきた中で最強……じゃないだろうか? そんな激しい波動というか、強い何かがオレの闘争本能を刺激してくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます