551:お宝探訪
(……あんなデカいのを、俺が持ってても意味ないよ。そもそも、戦争だろうが、商売だろうが、運用するためには物理的に従士的な職人、錬金術士の
(そう……だな。地面がアスファルトとか、コンクリートなら沈み込まずに歩けるだろうけど)
あれ? でも、キャタピラ系……というか、ガンタンクが無いな。ガンタンク。
(そういえば、戦車は無限軌道の着想に閃きが必要だから、存在しなくても仕方ないとしても、まず、乗り物……が無いな。この手の
(……多分、
そんな浮上台車……あったか?
(部屋の隅に折りたたみ式の浮上台車らしきモノが幾つか立て掛けてあったと思う。大きいのもあるだろ)
言われた方向を見てみると、確かに部屋の隅に、板と取っ手が折りたたまれた感じで……並んでいた。
ガチャン
う、うん。もの凄く使った覚えがある……折りたたみ式の台車だ。ホームセンターとかで売ってるやつ。催事場での催し物搬入の際に良く使った……ヤツ。
ただ、車輪が存在しない。浮いてる。ので、挙動は以上に軽い。そして表記されている古代文字は……「55㎏積載可能」。うん、判りやすい。
「その魔道具は、この椅子に近いモノですね?」
「ええ。荷物を運ぶ台車……まあ、車が無いからなぁ。浮上台でもいいんでしょうけど……判りにくいな。浮上台車としてごく当たり前の道具だったようですね」
「手前の遺跡建造物にもあった気がします……。そういえば。こう使うモノだったのですね」
宰相閣下はもう、ずーっと、テンション爆上がり状態だ。浮上椅子を押しているシミアさんに、そこに行け、あそこに行けと指示を出している。
(小学生男子みたいな挙動だ)
う、うん。そうだね。今は。国を……いや、人種の未来を左右する様な天才には見えないよな。
(逆に……こうして、人間らしい部分をゲットした「腹黒」の方が……敵に回すと怖い気がする)
(そうなのか? 弱みが増えそうなのに)
……だからだよ。弱みががあることを自分で知っていて……下される命令ってのは重みが違うよなぁ……やっぱ。
ちょっと違うけど、一代で大きく成功する社長は大抵、感情的な起伏が大きい。
人が人と形成する社会は。論理だけでは計り知れない何かがあるのは確かなのだ。
(理詰めだった宰相が……か。確かに幅は広がりそうだ。で? ここは?)
閣下はどうにもこうにも、
まあ、さすがに、一人じゃ無い。それまで浮上椅子を押していたシミアさんが俺に付いている。監視だね。監視。
盗むかもだからね。イロイロと。
(ぷっ。まあでも、うん、やろうと思えば……かなり盗み出せるな。【収納】あるし)
レベルアップ出来てないからな~【収納】。確認したときは大体100㎏程度のモノを収納可能って感じだったんだけど……いま、かなり増えてるんだよな。
(大体?)
(少なくとも500㎏以上は……入るかな。ポーションだけでもかなり持ち歩いているし。装備とかも入ってる。だから現実問題……200㎏くらいならいけそう……かな?)
(あの
(いやいや)
なんで内緒で持って帰る前提なんだよ……。いいよ。別にそこまでしていらないよ。一つは確実に貰える約束なんだから。
シミアさんの目も厳しいしな。彼女明らかにアレだよね。元緋の月の戦闘員だからね。足運びとか尋常じゃ無いもの。一般人の側仕えにしては。
まあ、宰相的に子飼いというか、信頼できる人……っていうのが彼女(たち)なのだろうね。うん。
閣下の椅子は護衛の騎士の一人が押して行った。ここは遺跡だから、何かと危険も予想される……というか、過去に遺跡の守護者? だか守護
(守備装置……というか、警備保安システム……みたいなのはあるよ。でも既に魔力不足で動いていないし……うーん。なんていうか、かろうじて動いていたセキュリティも解除されてる)
(どういうこと?)
(痕跡から判るのは……生体承認システムが特定の誰かに解除された……って感じ?)
(ん? ということは……遺跡に侵入した誰か……が、承認されるキーを持っていた? のか)
(多分だが、宰相閣下だろうな。お母さんエルフだし)
(ああ。そうか。そうだな。その可能性は高い)
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