548:魔力がガソリン
(なあ、これ……動力は全部、魔力?)
(そうだと……思う。うーん。水を差すようで悪いのだが)
(ああ、いい。俺は気にしなくて)
(うん。ここにある
(その理由は?)
(圧倒的に魔力が足りない。この世界にはかつて、魔力が溢れていたって、ノラムから聞いた覚えがあるが、それは確かな事だと思う。まあ、この
(当然じゃ無いか?)
(ああ。向こうの世界のガソリン製の内燃機関とかの考え方だとそうなるな。だが。魔力が空気中に存在する……例えば酸素の様な物質のひとつだとすれば。厳密には違うっぽいが、だが、そうだとすれば。空気中に魔力が豊富にある中で、それをエネルギーに使用して動く機関は……えーっと。詳しくは知らないのだが、アレだ、ターボエンジンって吸気を強引に行って、酸素を多く取り入れるとかじゃなかったか?)
(ああ、おおむねその考え方であっている、と思う。俺もエンジンの機構について詳しいわけじゃないが)
(つまり、ここにある
(ん? つまり、さっき言ってた……昔は10の魔力で魔道具を動かす場合、0にならなかった……ということか?)
(ああ、その可能性が高い。しかも、10のうち4くらい戻った感じだ)
(そうか……それはかなりスゴイな)
そう言われてみれば、思い当たる事がある。錬金術士のレシピに従って製作した魔道具は尽く、エネルギー消費に関する部分が非常に緩かった。それこそ、俺がほんのちょっと、向こうの世界の科学知識を用いて工夫するだけで、凄まじい効率化が可能だったりした。
それこそ、LEDランタンの魔道具なんて、それまであった灯りの魔道具を、エネルギー効率を良くして耐久度を上げただけ、とも言える。
(つまり、これらの……
(そうなる。一機、二機……いや、精鋭の数十機を起動する程度なら、大量に魔石を用意すればどうにかなるかもしれない)
(うーん。なんていうか、あの状態の宰相閣下にその現実を突き付けるのはちょっとなぁ。それに、もしかしたら、なんとかしてしまうかもしれないぞ? ヤツは天才だからな)
(そうだな……私の思いつかない事をする者達は沢山いるからな。ノラムが良い例だ)
(俺は普通だろ?)
(……)
「ノラム殿! これは本当にスゴイ。ここにあるのが全て
「ええ。ここ以外にも……修理の出来る作業場や、開発室の様な場所もあるはずです。その辺、純粋に探索してみなければ判りませんが」
「……施設自体が新発見ですから……ひょっとすると
ああ、この遺跡が、魔道具全般の研究所跡で、一般的な魔道具……そして、ここが
「さあ。判りませんね……私がここにいる間は協力させていただきますよ。当然。なので、魔道具……宝物の詳細はとりあえず置いておいて、遺跡探索を先に行った方がよいかもしれませんね」
「ああ、そうですね。貴方がいれば……古代文字の解析も大いに進むハズです。まずは、概要……この遺跡の全体像を掴むところから始めるのが良い気がします」
「そうですね。それが効率が良い」
「中身に関しては後でいくらでも調査可能だが、未踏破区域の発見は、ノラム殿がいなければ……見つけられない可能性が高い。失われた魔力の補充器……それは……正直、私が作りたかった魔道具の一つです」
まあ、そうだろうね。それがあればエネルギー切れの障害物……開かない扉の開閉とか、灯りの魔道具の点灯なんかも可能だからね。さっきショゴスがやった高度な変換を魔道具でなんとかするということだろう。難しそうだけど。
「うーん。正直、その辺の作業は……魔道具化できるほど、論理的に理解できていないのですよ。なので、私も感覚的に行っているので……」
「ええ、多分そうでしょう……魔力を用いた魔術の使用は感覚的、感性的に制御されて、行使される場合が多いですからね。ただ、もしも気付きがあって、魔道具化できるようであれば……原理や内部回路をお教えくださらなくても結構です。売っていただきたい」
おうおう。うん。まあでも、宰相閣下が作ってしまう可能性はあるけどな。
ショゴスはああ言ったけど、魔石から魔力を抽出する魔道具がこの
それを解析して、効率化して……今ある魔道具の何十倍、何百倍の出力を確保出来れば。
今は輜重部隊の運搬用でしか運用出来ていない
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