427:時系列で整理

 よく判らなくなってきたので、まとめておこう。


・30日前(一カ月前)

 魔族の軍一万が、深淵の森を踏破して出現。何故かその場に駐留。

 数日後からカンパルラは交渉の為に何度も使者を立てるが、尽く使者が斬殺されてしまう。


・三週間前

 シロ消失=ダンジョンシステム、システムダウン。


 冒険者「無名」サーマラ・フレームが精鋭を率いて挑むが、火の魔術で焼失。

 

・十日前

 魔族軍、一部隊を残して本隊は行軍開始。残された一部隊はカンパルラへ。


・一週間前

 カンパルラ城砦都市目前に迫った千名からなる部隊に対して、ギルド長のゲルグ・フレーム子爵が臨時副官のカンパルラ辺境騎士団が遅滞行為のため仕掛け、戦端が開かれた。開戦。これよりローレシア王国はアムネア魔導帝国に対して戦争状態に入る。


 松戸、森下、アーリィ、指揮下のエルフ族は、シロの残した「非常事態になるまで待機」という命令に従い、偵察のみを行う。


・五日前

 カンパルラ辺境騎士団臨時副官、ギルド長のゲルグ・フレーム子爵戦死。

 

 元辺境騎士団副官であるアーリィが緊急事態と判断。工房所属の松戸、森下、アーリィ、エルフ族、参戦。


 アーリィは、即辺境騎士団臨時指揮官に任命。エルフ族は弓兵としてカンパルラ守備隊に編入された。


 敵の大規模魔術は、城壁によって完全に無効化。


 松戸、森下は遊兵として、正面から敵部隊と対峙。


 アーリィ率いる辺境騎士団は正面から戦闘開始。


「アーリィの率いる本隊が戦闘以外の情報の入手……捕虜や鹵獲品の確保を行っていましたので、私達は完全に遊軍として、ただただ数を削っておりました」


「敵ってさ、魔族……は深淵の森を越えてきたんだよな?」


「はい。敵の……魔族の詳細はアーリィが詳しい情報を得ていると思うのですが……」


「今回、「西伐軍」として侵攻してきたのは、アムネア魔導帝国のハーシャリス閥の軍だそうです。アムネア魔導帝国は「閥」と呼ばれる単位で構成されていて、帝国は十八閥で構成されていて、経済的だけでなく、司法的にも独立しており……聞いた限りでは各州の権力が非常に強い合衆国制度を採用していると予想されます。帝国を統べるのは皇帝になるワケですが、その一族が治める「皇帝閥」は現在五つしか無く、規模も通常の「閥」よりも少々大きいだけで、皇帝親政とは言い難いかと。権威的な象徴と認識するのが正しいかと思われます」


「……森下、その情報ってアーリィから?」


「はい。それに加えて、捕虜の尋問を見学させてもらったのと、実際の戦闘中の会話からの推測も多数含まれています」


「そっか……相変わらずスゴイね……」


「森下……それ、今までなんで言わなかったの?」


「なんか言えなかった。なので、情報収集して色々と考えてた」


 ……そっか。というか、松戸は平気だったのに、森下はそんな状況になってたのか。うーん。なんでだろう。


「現状、千名で構成されたハーシャリス閥軍第十部隊を壊滅したわけですが、本隊である、第一~第九までの部隊は、既に、王国の中央へ侵攻しています。第九がリドリス領の領都を墜とす予定になっているとか。最終目的は当然、王都。この地を魔導帝国の侵出拠点として植民地化する予定」


「松戸?」


「いえ……そこまでは……というか、植民地化する……という所までは、ディーベルス閣下も確証は得ていないかと思います」


「戦場で最後までしぶとかった「自動治癒能力」を持つリバンド・シェルアール一等貴民が、副官らしき男と話していた内容からの推測です。「この戦いで勝利した際には、あの二人の女を奴隷として戴くとしよう」「植民地として統率する際には戦奴も重要だからな」「王都侵攻の若い番号の部隊が有利かと思っていたのだが、こんな僻地でも優秀な褒美が存在するのだな」「第九はこの辺りで一番大きなリドリス領都だかを攻めるんだったか。ワガムにしてやられたと思っていたが」この様な会話が行われていました」


 リバンドってのが戦場にいた「回復君」ね。


「覚えてるのスゴいな」


「しゃべれなかったので」


 うん。そういう問題だろうか。


「それにしても、御主人様がハーシャリス家の第八王子、デリフィア・レニロ・ハーシャリスを始末して下さって良かった。正直、そろそろダメになりそうな時間帯でした」


 デリフィア様とか言われてたもんな。アレね、「おでこピッカリ君」兼「寝台君」ね。


「ゾンビ兵は辛いよね」


「はい。常に兵力が維持されますからね……。魔術を使用してこなくなるのは大きいんですが、痛覚が無いからか、腕力が増加して、肉盾としては非常に有効なのです」


「戦闘は……夜は休み?」


「はい。純粋に、夜はゾンビ兵が動かせなかったか……それとも、術者の体力や魔力が不足していたのか。まあ、とにかく、夜は夜襲に備えてはいましたが、一度も仕掛けられたことはありませんでした」


「そか。それにしても、戻るのが遅くなってすまない。色々と片付けてたら、このタイミングになってしまった」


「はい。そもそも、シロメイド長がいなくなるなんて予想もできませんでしたので」


 そうなんだよなぁ。……魔族が現れた事と、シロが消えた、システムダウンした事って関係ありそうなんだよなぁ。


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