393:シラザ

休んでいる間にも応援、ありがとうございました。なんとか……徐々に……です。特に、更新していないにも関わらず、ギフトが届いたのは……本当に力強い後押しとなりました。感謝します。


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 シラザ財閥。まあ、米国五大財閥にもう一つ付け加えるとしたら……で名前が挙がってくる財閥のひとつだ。


 現代の巨大財閥は商社を抱えている事が多いが、財閥全体で商社を運営している。「CIRAZA」の名前がスーパーやコンビニかの様に扱われる国や地域も多い。


 売れぬ物無し。の、よろず商社、世界各所で商圏による支配を実行している「現代的財閥」だ。この辺は元商社マンとして、商社界の常識だ。


 北米五大財閥のどことでも取引があり、その情報網は世界でもトップクラスと言われている。特に昨今のインターネット時代になってから、その力を増した……とも。


 だが、往々にしてその名は表面に浮かぶことは少ない。意図的に隠されているのだろう。それをどう、考えるか。


 その方が都合が良いからに決まっている。


「北米だけで無く、米国大陸の裏を牛耳る財閥……というのは、都市伝説的にも噂されてるよね。シラザは。軍需産業分野の取り扱いが多いのも表に出てこない理由だっけ?」


「は、はい。シラザが……どのような理由でここまで日本侵出……いや、多分、霊薬の入手に傾倒する事になったのか……は判りませんが、かなり本格的に力を行使し始めております。牙頭の様な……鉄砲玉として使う組織も幾つも日本に侵入させていますし、陰陽寮への食い込みも非常に強力な様です」


 三沢さんが汗を流しながら説明してくれる。暑くは……ないよな。空調入ってるし。ああ、無表情で判りにくかったが、よく見れば倉橋さんもか。


「さきほどの長老衆なんだがな……既に大半が排除され、いつの間にか抹消されてしまった様だ。……私が知る限り、十人中八人が消息を絶った。生き残っている二人の長老衆は元々、我々の側の人間で我が家が匿っている」


 ……間抜けが……本当に……日本を救おうという組織を率いる器では無かったのだな……。


「君がこれから長老衆の屋敷や……陰陽寮の本部を「潰し」に行ったとしても……そこに居るのは新しく陰陽寮を支配した者たちと、旧来から陰陽寮に勤めていた何も知らない者たちだけだ。まあ、確かに、新しく支配している者は……長老を名乗っているが、全てその、シラザの息が掛かっている者達ばかりだな」


 ふう……つまりは。


「じゃあ何? シラザ財閥……を潰せば……陰陽寮は即、倉橋さんの思う通りに動かせる様になるのかな?」


「し……シラザを……つぶ……」


「あ、ああ。そう、そうだな……。現在長老を名乗っている者達は……化者カノモノではあるが、元々その能力が大した事が無くて疎んじられていた者達ばかりだ。ヤツラは全員消せばいい……」


「出来る?」


 この語に及んで……はないよね?


「ああ。出来る……のではなく、やろう」


 ならばよし。


「じゃあ、さっきのMAPに連動している情報を、シラザの情報に書き換えて。まずは……日本で一番厄介な実働部隊の所在とか判る?」


「む、村野様、その……シラザを……と、いうのは……ど、どこまで……でしょうか……」


「どこまで?」


 三沢さんの顔が……ちょっと白い。


「し、シラザ財閥は……噂だけではありません。私が把握している限りでも、米軍や他国の軍事組織の上層部に一族の者、関係者を送り込み、世界規模で影響力を持っています。潰す……というのも……その……下手すると……米軍と事を構えることになりかねません」


「まあ、まずは日本に入り込んでいる、食い込んでいるのは?」


 あ。明らかにちょっとホッとした顔をした。


「現状、日本の「CIRAZA」支社、支社関係者に目立った動きはありません。メインになっているのは……財閥の窓口機関の中堅総合商社があるのですが、そこの日本支部長として動いているのがマース……です。実は最近判明したのですが……マースの……ヤツの本名はマース・オランと言いまして、シラザ家の分家筋に当たるオラン家の跡取りのようです」


「……ようですって三沢さんは知らなかった?」


「はい……申し訳ありません。マース・ライガン……こちらの名前と素性データを信じ込んでいました。元々米軍の諜報機関の深い所から流れてきたデータでしたので……。奴と出会う以前から、何か力を使われていたのかもしれません。実質、我が社への潜入工作員であった可能性も高いです」


「そか」


「その……マースが支部長のオランス総合商事の入居しているビルがこちら。そして、その実働部隊は……その……こちらです」


 最初に指示されたのは丸の内の……それなりに有名なビル……だ。そのワンフロアを貸し切っているらしい。


 そして……実働部隊は……。


「横田……?」


「は。在日米国米軍横田基地……そこに……半年以上前から米軍の……特殊部隊が派遣されており、陰陽寮や化者カノモノに対する対処を全面的に行っていることが判明しています」


「米軍の特殊部隊……グリーンベレー?」


 それくらいしか知らん。


「はい。ですが、通常のグリーンベレーではなく……第XX特殊部隊グループと呼ばれている実験部隊で……実体はほぼ知られておらず、コードネームもUNKNOWNのままで……」


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