386:二つ目
「掌握」
した。
あっという間だ。なんていうか、この未踏破ダンジョンはグノンのダンジョンよりも古い様だったが、未発見で、誰も侵入者が居なかったようだ。って、まあ、かなり山の中だからね……しかも土砂で入口が半壊し、藪や下木で覆われていた。
そもそも人が入ったことも無かったのだから、長年放置されていたわけで、成長もしていない。
モンスターの構成も、グノンのダンジョンとほぼ一緒で、
第九階層
レベル30 ストーンゴーレム亜種
第十階層
レベル33 アイアンゴーレム
守護魔物階層
レベル15 デスホーク亜種
レベル35 ヒポグリフ亜種
第九階層からの深層が少々異なっている感じなだけだった。
守護魔物って呼ばれているらしい、最下層のボスは混成亜種で魔物が出てきた。
が、正直、空の魔物は風の魔術ということで、「風刃」「乱風」で羽根をズタズタにして地に落とす。
落としてしまえば後は簡単。「石棘」で頭を突き刺すだけだ。
ちなみに、「石棘」よりも「風刃」の方が射程が広い。傾向として、地→火→風の順で広いと思う。まあ、強引に魔力を込めれば何とかなる程度の差なのだが、魔力消費は少ない方が良い。
楽に使える方を選択した方がいいだろうから、覚えておかないと。
(ここはまあ、無くなっても良いよな)
(私の所有している情報に……無かったのですが、他のダンジョンを「掌握」すると、潜在的なパワー、エンジンの排気量の様なモノが上がる様です)
(何のエンジン?)
(私の……ですから、迷宮全体のです。これらは意図的に公開されていなかった様で……)
(なんでだろう)
(ダンジョンを……掌握戦に夢中になる
(何か理由がありそうだ)
(はい。ですが、現在ではそれをうかがい知ることはできません。なのでとりあえず、実験を優先して良いかと思われます。正直、ショゴスが側にいるとそれだけで
そうなのか。
(判った。これ、直接取っちゃえばいいんだよな?)
(そのはずです)
石灯籠モドキから、ダンジョンコアを抜き取る。思いの他、簡単に……力を入れずに引き抜けたことに、驚く。
(現状、既にそのダンジョンを「掌握」しているからです。「掌握」前に取り出そうとすると、それなりの障壁、魔術的な抵抗にあうはずです。それをはね除けるには、相応の魔力が必要です)
ふむふむ。そりゃそうか。なんか、その「掌握」のための手順とかそういうのが良く判ってないな。まだ。
(覚えていただかないといけませんね……「掌握」前は大抵、私とアクセスできないハズですから)
まあ、そりゃそうか。シロから連絡来たのは「掌握」後だもんな。
(ショゴス……これはお前にやろう)
(ああ。ありがたい……イロイロと試してみても良いだろうか?)
(ん? エネルギー補充以外にも何か出来そうなのか?)
(女神の作ったシステムに弾かれ続けているのはなんとなく好かん)
(ぷっ。好かん……か。くくく。いいな。ショゴスのそのセリフ……というか性格は万里さんのままじゃないよな)
(……そう言われてみれば……そうだと思う。長い間一緒にいたから大きく影響を受けているとは思うのだが)
つまり、ショゴスには……個性が存在する。AIの様に元になっているハイエルフの人格が無いのだから、これはもう、生物として知恵ある者として対応しなければならない。
シロから伝わってきていた……神敵は、虚無、何も無く唯々喰らう者……というイメージが強すぎた気がするな……。まあ、神敵という存在の情報が最大級の警告と共に扱われていたのだから、仕方ないのだけど。
(正直……万里の身体を動かしてみて判ったのだが……ああいった人型の構造体は……動かしていて、非常に楽しかった。村野が言っていた、ゴーレムなら、それが安易に実現できるのだよな?)
(ああ。こちらのシステムに……ショゴスが消されないようになれば、ゴーレムの操作くらい簡単じゃ無いかな。元々、人間の身体を模している上に、簡易化されているのだから)
(万里の読んでた小説にその手のモノがあったと思う。なので、自分の身体を手に入れるのなら、それが一番ではないかと思うのだ)
(そうか。身体が欲しいのか)
(というか……万里と直接……音声で話をしてみたい……)
おうおう、そういう理由か。うん、いいな。いいね。そうか。うんうん。ゴーレムに……まあ、それは俺のレベルを上げて、高性能なヤツを仕上げればいいよな。多分、可能なハズだ。
(判った。その理由は良い。俺的にもの凄く好ましい。ショゴス、力を貸すよ。なので、要望や希望があるなら、遠慮せずに言うように)
(あ、ああ。判った……)
いま、ちょっと引いた? のか? なんでだよ。
ショゴスが……ダンジョンコアに纏わり付いた……と思ったら、いつの間にか、コアの姿は消えていた。
(消えた?)
(分解しただけだ。ああ、やはり、エネルギーの吸収率が大きく違う。……さらに、コアから発するのが、エネルギーであるのに、なぜ自分がシステムに弾かれてしまうのかも判った気がする)
とぷん……とスライムの様な動き。まあ、ショゴスは水たまり……って感じで、あんなプルプルじゃ無いんだけど。なんとなくそんな感じの動きをすることもある。
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