355:単独行
松戸、森下、アーリィ。三人とも、ソロで周回するのが一番訓練になりそうだ……ということだったので、個別にフロアを設定し、グルグルさせる。
(複数同時って平気なの?)
(はい。これくらいなら大丈夫です。元々ダンジョン関係の処理は速いので。専門なので)
(……すまん、いつも他の事をやらせてて……)
シロには……情報収集全般をお願いしてしまっている。他にそれができるヤツがいないからなぁ……。片矢さんみたいな…… それはしょうがないか。
現状、エルフ村から派遣されてきているエルフ冒険者達で我慢するしかない。近隣はアンテナチップでカバーできているから、それよりも遠くの情報がもっと欲しい。
が。
贅沢は言ってれらないよな……。
帝国の闇の者達は目前まで迫っているのだ。
「アーリィシュが王都から逃げてくる際に、何人か、緋の月の者を潰したことが……向こうの行動力を低下させたようです」
「……雑魚だったんじゃないの?」
「ええ。ですが、その中に、事務方だか、作戦方だかの……通常であれば補給などを差配している者が含まれていた様で」
「ああ……ヤツラもさすがに人手不足ってことか……」
「はい。それは確実です。そもそも、我が国にそこまで戦力を割いていなかったようですしね」
「舐められてたんだろうなぁ……というか、この国ヤバいもんな。それこそ、下準備……策略を張り巡らせて計画的に攻めなくても……力押しであっさり潰されただろうし」
「……はい。正直、純粋な武力による戦い、諜報戦、外交戦、闇の者同士での裏戦……ありとあらゆる部分で圧倒的に叶わないかと」
「だよな……。これさ、俺とシロがこの国に、いや、ディーベルス様につかなかったら」
「まず、貴族子女が相当数死亡。それに伴い小さいとはいえ内乱勃発。農産物の不作などにより経済の悪化、特に……リドリス家を始めとした「清廉」な貴族の失脚。国内で多発する
「……どこからどう聞いてもその通りだと思う。問題はこの辺を国の幹部が気付いていないところだよな……」
「はい」
「宰相が視野の狭い……あんなレベルだもんな……」
「正直、
でもなぁ……これ以上何か手を広げるつもりは無いんだよなぁ。こちらの世界に対して、なんていうか……愛情を傾けることができない。
これは、この地で生まれていないからなのか。ハイエルフという種族の「変」な特徴のせいなのか。
とりあえず、ディーベルス様を始め、その家族、フジャ亭、カンパルラの一部の人々……あとはリドリス家の二人。そんなもんか。
特にリドリス家の人達には面倒な事を押しつけたな~っていう気はしているんだけどさ……正直、俺がそうしていなかったら、帝国の思惑通りに国など合って無い物になっていたよ?
正直、ローレシア王国、この国の現況は、当然の様に、それを率いてる王族に起因していると考えている。
王族、その一族が代々統治してきた結果がこれなのだから、彼らに対してあまり良い感情を抱かないのも仕方ないだろう。
だから、アーリィに対しては即同情的になったが、姫様に関してはノータッチのまま進めたのだ。なんか気乗りしないっていうか。無碍に扱えないのは判るんだけどな~。
「
「ん? どした?」
「強大な魔力反応がリドリス領に接近中です……こちらの情報網に一切関係無く、突出してきたようです。現状かなりのアンテナチップが飽和状態となり、情報伝達が不可能になっています」
「何それ……」
「完全に予測ですが……もしも
「んーと。俺と同じくらいの強さの敵が、カンパルラに向かっている……と思えばいいのかな?」
「はい……いえ、多分、
それは……うん。やばいねぇ……。というか、さすが蒼の宰相だっけか。帝国宰相さんの手配だろうなぁ。念には念を入れてって感じかなぁ。その辺手を抜かないよね。
こっちに向かってるヤツもそうかもだけど、宰相……能力値高いよなぁ……確実に。知力は絶対に100超えてるよな。さらに魅力も80超えだろ。
「……やっかいなことに……この特異点、緋の月と連携を取っておりません。完全に別動です。なので、緋の月を囲い込んでいた情報網が一切役に立たず……あ。いえ、緋の月も戸惑っている様です」
「単独行なのが唯一の救い……っていうか、そうか。自分の実力を過度に信頼してるタイプ……天上天下で傲慢な……嫌いなタイプかな」
「この実力で、恥ずかしがり屋で、知り合いと作戦を同行できない内気なタイプ……ってことは無いと思われます。し。誰かと協力して戦うということをしない気が」
そうなの? 俺もそんな感じの実力、扱いってこと?
「今さらです。
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