349:魔導鎧
「うれしいです~こ、こんなにスゴイ装備を~」
アーリィは殊の外喜んでくれた。いや、とんでもない感動、とんでもない喜悦……っていうのかな。かつて感じたことの無いレベルで喜んでくれている。ちょいビビるくらい。
あげたのは女性へのプレゼントとして、どうなのか? と疑問符が表示される剣と盾と軽量の全身鎧……なんだけどね。ある意味、オーダーメイドだから、悪い気分ではないだろうけど、うん……。
黒鉄の兜、黒鉄の鎧、黒鉄の籠手、黒鉄の脚鎧、黒鉄の脛当……黒鉄の鎧一式装備とでも言おうか。これを全て+1に加工した。
この+1は基礎強化。防御力はかなり上がっていると思うし、魔術を防ぐ力も上がっている。さらに、魔術が通りやすくもなっている。
それを魔道具化する。【結界】「正式」の約五十分の一効果を常時発揮する。これ以上は常時発動させるとすぐに魔力が消費されてしまうので諦めた。
こうして、表面的には+1なのだが、内実、とんでもない魔道具の防具が完成したということらしい。
あと、鎧の魔道具化といえば定番のサイズ調整なのだが。当然そんな機能は付いていない。
これは実は定番のゲーマーRPG疑問ってヤツだ。「宝箱に入っていた鎧はパーティメンバー誰でも装備できるのは何故なのか?」の答えが「迷宮産のアイテムは全て、サイズ自動調節機能が付いている」っていうもの。
「シロ、このDPで購入出来る鎧さ、俺の体形、サイズに合わせた物が買えるじゃ無い? 俺以外の人にあげたい場合サイズ調整はどうすればいいの?」
「DPで購入できる防具のサイズは、購入時に想定している装備者のサイズで出現します。まあその辺の、自動サイズ調節機能があると思っても問題無いです」
そうなのか……。結構複雑じゃないか? これ。ぶっちゃけ無茶なシステムだよな……。
「なに、それじゃ……このDPのシステムって、俺がこのダンジョンで設置する宝箱のシステムに直結してる感じだよね? それが普通なの?」
「はい。迷宮自体のシステムに含まれているものです。例として……
・ソロの冒険者が宝箱を開けた場合:その冒険者のサイズの防具が出現。
・冒険者がパーティで宝箱を開けた場合:最初に装備しようとした者にサイズ変更。種族などが違う場合、それに合わせた物に変更。
こんな感じでしょうか?」
なんだその、もの凄く複雑で効率の悪い感じ。やってることはスゴいけど、コスパ悪くないか? それ。
まあ、なので、鎧一式のサイズは、アーリィにジャストフィットである。迷宮が生み出すオーダーメイドだからね。
そして……黒鋼の長盾も+1にしてみた。
が。
これ、凄く重い。幾らアーリィが騎士として優れていても、これを片手で取り扱うのはちょっと厳しいだろ……軽量化とか付けられないのかな。
「確か……鈍重の大槌という両手槌に……軽量化の魔術が使われていた気がします」
ぬ。シロさん、それは素晴らしい情報です。DPで交換できるようになるアイテムは10レベル毎に増えて行っている。
これまで魔術が付与されているような装備は少なかったから適当に流し見してたけど……今後、レベルが上がっていけば、そのタイプは増えるだろう。今後、全部試していかないとかな。
さっそく、鈍重の大槌をDPで交換してみる。
「でかっ」
持ち手は人間サイズだ。だが、槌の部分は……オークサイズっていうんだろうか。二メートル越えの巨体に似合う感じだと思う。
確かにこの大きさ……しかも鉄製だよな……これ。良く、長柄が折れないな……。槌の部分にはシロの言う通り、魔術紋が施されている。これが軽量化の魔術紋か。
丁寧にコピーして、黒鋼の長盾+1に定着させていく。既に、【結界】「正式」の紋は綺麗に定着してある、。
二つも魔術紋を付与すると、問題になるのは魔力なのだが……元々軽量化の魔術紋はそれほど「消費魔力の大きい」紋では無かった様だ。
なんとか。共存させることに成功した。それがこの黒鋼の長盾+1だ。
「軽い……これはスゴイ……」
文字通り……アーリィがぶんぶん振り回している。あれ? 軽量化いらなかったかな? まあ、確かに半分程度になっただけで、今もかなり重量あるんだよな。あまり軽くしすぎてしまうと、シールドバッシュとか威力半減しそうで。
「それにしても……これは素晴らしいですよ……」
「スゴイですねぇ。かっこいいです……メイド服もいいんですが、この手のゴツイ装甲も……欲しい気がします」
あ。うちの二人にも大好評だ。というか、うちの女性陣は普通じゃ無いってことを忘れないようにしないとな。うん。
「
まあ、喜んでくれたのならよし。
「で、その鎧、魔力を注ぐと硬くなる。アーリィの魔力次第だが戦闘中、敵の攻撃を喰らう瞬間に発動して身を守る感じで使用する。まあ、魔道具でもあるな」
「なっ! ……そ、それは〜強化鎧と〜いうことでし、ょうか〜?」
「強化鎧というよりは……正確には、魔導鎧でしょうか」
「ま、まどう〜鎧……って、伝説の……装備〜じゃないですか〜宝物殿にゴレム鎧っていうのがあった気が〜」
「ええ、そうですね。魔導鎧は別名ゴーレム鎧と呼ばれていましたから。それと同等……いや、こちらの方が上でしょう」
「そ、そんな! 宝物庫クラスの装備を!」
「
シロさんは相変わらず、ちょっと悪意があるよね。
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