306:ぴちゃ

 というか、まあでも。


「衆道はともかく……確かに、組織なのか、祖国なのか、宰相個人になのか、緋の月の構成員の忠誠心の高さは脅威だよな」


「はい。御主人様からの話を聞く限り、ローレシア王国も、一部を除き、王家と貴族、そして裏の人間の関係は良好だと思われますが……。帝国のそれは少々異常な気がします」


「でも操られてる……感じじゃ無かったな」


「はい。アレは能力で押さえ付ける感じでは無いと思います」


 まあ、二人はプロだしね。操られるのの。素っ裸で殴り掛かれとか普通にやらされてたわけで。


「……異世界転生モノでよくあるのは、孤児を育成……ですよね。子供の頃からそういう教育を施せば、十年程度で洗脳、忠誠心の高い良質な兵士が完成します」


 それだろうなぁ……。多分。


「まあ、そうだろうね。あと、少数民族を保護して、その恩を返す形で……とか。か」


 今回の俺のエルフ村みたいなのは、ちょっと無理矢理だったし。


 その辺、幾つも手を打って、その結果が今こうして実を結んでいる感じなんだろうな。


「スゴイね、宰相。さすが天才」


「……うーん。どちらかといえば、腹黒い共和国元帥+劉玄徳かもしれませんよ?」


 森下……その例えは銀河戦国SLG好きじゃないとなかなか伝わらないぞ。まあでも……それは強敵……。


「完璧じゃないか。ずるい。チートじゃん」


「ズルイですよね……でも、きっと向こうも、御主人様に同じ事を言ってると思います」


 まあでも、会ったこともない相手を予想しても意味ないか。


「あぁ~。毎日ちょっとずつ、ポーション作って、それを売って、あとは適当に暮らすっていうのがベストというか、そうしようと思ってたのになぁ。なんで、こんな面倒な事になってるんだろうなぁ~」


「ふふ。御主人様はお優しいから」


「ですね~」


「優しいかな?」


「ええ。特に……自分が一度身内と決めた者達、「全て」生かそうと考えてますよね? だから……どんどん、厄介になっていくのです。向こうの世界ではある意味、本当に面倒くさくなる前に、斬り捨てられて良かったと思うくらいです」


「うーん……そうか?」


「そうですね……というか、確かに、御主人様はこのカンパルラの一部の人達によくしてもらったかもしれませんけど……こちらの世界最大の闇の組織との戦闘を、全面的に引き受ける筋合いはありませんよね?」


ぎくっ。


「鋭いね。さすが」


「ある程度、考えられている人……それこそ、リドリス家の方々であれば気づいていると思いますよ。だっておかしいですもん。緋の月のヤツラを「御主人様」が潰しているの」


 そうね~そうですよねぇ。


「でもさ、わざわざここカンパルラにやって来てコソコソカサカサと嗅ぎ回ろうとしているんだから、潰すでしょ? 普通。Gの様に」


「そうですけどね。でも、御主人様の性能が良すぎるのですよ~送り込んだ斥候の生還率0%ってあり得ないじゃ無いですか~」


 そうなんだけどさ。


「そうですね。ワザと敵の的になりにいく必要はないですね。特に私達は御主人様頼り……というのは関係無く、心配してしまいます。……でも」


 ぬ。松戸、目がうるうるしてるよ……。


「カッコイイです。ステキです。森下風に言えば「さすゴシュ」です。ああ、たまらない、もう、抱かれたい! すぐにグチャグチャにされたい! こんなに夢中になれるモノがあるなんて! 自分ランキングで、温泉よりも上の男がいるなんて! ああ! ああああ!」


 もう、辛抱たまらん! 的な動きで、ソファに座っている俺の左足にしがみつく松戸。おいおい。いきなり豹変怖いよ。


「ああ! 貴子さん! ずるい! というか、私だって私だって、もう、メロメロ度は上がり続けて、最近では数秒妄想するだけで、ヌレヌレ準備OK状態、発情猫ちゃんナンバーワンなのに!」


 右足にまたがるように森下も抱きついてくる。というか、うん、普通こっちだよな……松戸よ。なぜ、真っ先に足、そして、つま先を口に含んで舐め始めている。


「ああ! 速い! ずるい! 貴子さん!」


 森下も……俺のシャツをはだけて、ピチャピチャと音を立てて……。


 こういう時にシロメイド長は一切邪魔をしてこない。というか、自分がいない方がこういう雰囲気になるな……となった瞬間に、隙を付いて消え去ってしまう。


 ちゅーか。俺がエロイ事をするのに非常に協力的というか、全面的に支援しているというか。


 俺の……というか、ハイエルフの種族特性【冷静沈着】【合理的】【非協調】【生殖力小】の【生殖力小】の効果はそれだけ凄まじいという事なんだろうか? 徹底しないと真剣にヤバいんだろうな。


コンコン……


「失礼します。マイアです。本日の献立は……」


 あら。目が合っちゃった。


「マイアさん、ノックして「ぴちゃぴちゃ」中から指示があって「ぴちゃ」初めてドアを開けます。よろしいですね?」


 え? そこなの? あれ? そういうもの?


「ああ! そ、そうですよね。すいません、あの、こ、献立の事を考えていたら、ついうっか……うひゃー」


「うひゃー」ってセリフ。初めて聞いたよ。まあでも、その気持ちは判る。思い切り舐めてるからね。うん。


「マイアちゃんもしたい?」


 森下さん。それはどうかと思いますよ?


「……し、したいです! したいです! したいです!」


 マイアは料理人なので、ハルバスさんも着ていた、こっちの世界のコックコートを着用し、ズボンを履き、エプロンを着けている。


 森下と逆の位置、松戸の上に滑り込むようにマイアが突っ込んできた。


 ……鼻息荒いよ? というか、まあ、マッサージな。あくまで。マッサージだから。


 それにしても。献立の話は……しなくていいの?


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る