268:欲望が止まらない
集めるだけ集めてあまり使えていない(目立つから)、ガラスの材料は、かなり大量に保存している。
えっと珪砂は石英を細かく砕けば良いし、塩を電気分解したソーダ灰もあるし、石灰石もバッチリ。
言葉にすると、ガラスの作り方は非常に簡単だ。材料を細かく砕いて、高温で熱して、ドロドロにして、それを均等な厚さに引き延ばして……で板ガラスになる。
これらを職人さんや機械を使って生み出していく……システムを作るのはかなり大変だし大規模になるワケだけど。
ぶっちゃけ、これ、俺の錬金術だと本気で瞬間作業になる。なんていうか、魔道具でもなんでもない、単純錬成。
(シロ、錬金術士にジョブチェンジ)
(ジョブチェンジ致しました)
最初は副職変更とか言ってたのが、ここ最近、カンパルラ全域でシロの機能が使える様になったら大胆になったのか、言葉使いが遠慮無く、雑になっている気がする。
球形の「正式」の中に、素材をぶっ込んで、「乱風」を使用した新しい「微塵」で……もう、向こうの世界ではあり得ないくらい細かくする。
それをそのまま……加熱。何がスゴイって、球の中に直接、炎をぶち込めて、攪拌できちゃうって所。超高熱の炎イメージで一瞬にして液体にする。
そしてそれを……「正式」で作った薄い型枠に流し込む。あ。いや、厚さは5センチくらいにしておこうか。ギュギュギュギュと圧縮して、広く伸ばす。ちょっと素材をブチ込みすぎた……か。圧縮していったら、ガラスの厚さが大体10センチくらいになった。これにさらに圧をかけることはできるけど、とりあえず、今のママでいいか。かなり固いと想うし既に。
俺の求めるサイズ……大体、上下2メートル、左右は4メートルくらいで、厚さ10センチの水族館レベルの板ガラスが完成した。
それをさっき開けた穴にはめ込んで、錬成を終了する。
(シロ、魔術士にジョブチェンジ)
(致しました)
その周囲を「硬化」で固める。防水パテとかシリコン剤とか必要じゃ無いのがスゴいな……大地操作をDIYに使用すると、プロ級の左官職人が大暴れ状態になる感じ?
0ミリ単位で圧着させて、完全はめ込みの窓が完成する。おおー。錬成した板ガラス……分厚さが10センチちょいあったのに全く歪んでいない。斜めから見ても、全く異和感を感じない。これが錬成による生成の成果か。
(シロ……さんや。ここに水……水脈か普通の水を直接引っ張っちゃいたいんだけど。可能?)
(……そこからですと、少々東に曲げる必要がありますが……問題ありませんでしょうか?)
(ああ。「穿孔」「硬化」はパイプでイメージしてるから、それを曲げていけば問題無い。それこそ、地下数十メートルまで潜らせれば、どの方向に曲げても問題は起こらないよね?)
(ええ。起こりません。まあ、そもそも、地下の権利などあってないようなものですし)
うし。んじゃさっさと……まずは直下に掘削。そこでパイプを曲げて、東へ向かわせる。
(どれくらい?)
(今の位置からだと……700メートル程度でしょうか)
(うい。詳細は教えて)
適度なスピードでパイプを伸ばしていく。
(その辺りで下へ)
掘削パイプを直下へ向ける。
ゴボッ……
「お」
さっきと同じ様な……いや、若干小さい音が聞こえた。圧力も感じる。
ゴボゴボと水が溢れ出てきた。傾斜を付けてあるので、水風呂の方に水が流れ込む。
(シロ、ありがとね)
(現在、この都市が活用している水脈とは別の、「ちょうどここで使用するのに丁度良い水圧が掛かっていそうな」水脈からの水になります。あ。まあ、少々深いので、こちらも通常の水ではあり得ない、魔力、及び、気力が混じり合っていますね。
(……身体には良い……んだよね?)
(ええ。悪い要素は見あたりません)
(ならよし! さ。栓付けよう)
水道栓付けて、完成した。まあ、こちらも水を貯めておく。結構冷たくて素晴らしい。地下水直の水風呂なんて早々無いぞ? なんて考えていたら……こうなるとサウナが欲しくなるよなぁ……。
このお風呂にした部屋。10畳程度の広さだ。
家族風呂程度の大きさの湯船。洗い場。あ。シャワー付けちゃおう! 石製だと重くなるから、ゴーレム錬成の技を流用して、軽い石と木が混じり合ったハイブリッド素材のシャワーヘッドを作り、温泉の排水付近に分岐を作って、熱いお湯を洗い場に引いて繋げる。うん。手元のスイッチで、お湯が出たり止まったりする。シャワーヘッドの引っかけ部分も設置。
広さ的な余裕はまだまだある。
三畳くらいの部屋……を作る。上部に換気口を設置して、ドアも設置。中にはよくある階段ベンチ。通常はここにストーブを置いて、火山岩とかを熱するんだっけ?
あ。ドアにガラスをはめ込んでおかないと、中で倒れてたりしたら見えないから危険か。はめ込む。
ストーブ……は魔力稼働が安全で良いだろう。正直、石を温めるレベルの火力……が必要である以上、空気中に存在する魔力を集める街灯用の魔力収集装置ではどうにもならない。
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