245:レア素材

 シグノさんに報告したら、ものすごくイヤな顔をされたけど「自分の家(縄張り?)」を荒らされるのは我慢出来ないらしく、すごい速さで回収にかかった様だ。


 得られた情報はディーベルス様経由でなく、俺にも送ってくれるらしい。


 ありがたい。


 でと。


「んでさーシロ。出かける前にちょいと格好つけちゃった狂乱敗走スタンピードの件なんですけど~」


「はい」


「確認してなかったんだけどさ。アレ、俺一人で食い止められるんだよね?」


「はい。問題無いかと思われます」


「ああ、良かった。その制でちょっとイライラして、ドノバン様に喧嘩売っちゃったよ。口の利き方に気をつけろって」


「領主補佐に喧嘩を売るとは……ということは大成功ですね?」


「あーうーん。そうかな。大成功かな」


「御主人様の感情の波から失敗はしていないと思いましたが」


 お、おう。そういう情報から読み取るのか。まあ、うん、でも、シロには裏まで知られちゃってるし、今さらだな。


 あの後、もう、面倒はごめんだったので、あえて周辺情報を遮断して、カンパルラまで直線で駆け抜けた。


 で。あっという間に、拠点のお気に入りソファにゴロンと寝転んだ。

 地下に設置してある扉。半開きになっている白い制御室にいるシロには、到着直前に「お帰りなさい、お疲れ様です」と声を掛けられている。


「で。その俺らが原因の大規模狂乱敗走スタンピードはどんな感じで襲いかかってくる?」


迷宮創造主マスターが原因ではありません。女神の巨大な御力故の狂乱敗走スタンピードです」


「まあ、うん。で?」


「はい。現在も情報は精査中ですが、狂乱敗走スタンピードの原因、最も大きな要因となりそうなのが大型種……の存在です。現在確認出来ている限り、深淵の森の中層に、数匹のドラゴンを確認致しました。これは明らかにイレギュラーです。彼らを中心に狂乱敗走スタンピードが生じるのは明らかです。他にも……」


「なら、やりにいこうか」


「はい?」


「それ、放って置いたら確実に狂乱敗走スタンピードが発生するんだよね? 明かなんだよね? なら行ってやっちゃおう。それが一番手っ取り早くない?」


「それは……そうですが……あの……深淵の森の……現在ドラゴンが生息していると思われる場所まで……討伐隊が派遣されたことは……過去に例が無く……」


「うん。俺、行けない?」


 シロが……なら諦めるけど。


「しょ、少々お待ちください。私の中で狂乱敗走スタンピードは「受け止める物」という基本概念がございまして……」


 シロはもの凄く、人間ぽくなったなぁ……。


「あの、その方が、予測対応が行いやすいと女神が設定されまして……各種情報から「こうなるのでは?」と意見を構築するには、人に近い、思いこみや、定番、過去の慣例等に引き摺られる思考が重要ということで……その……」


「ああ、うん、別に通常業務に関して、客観的な情報精査ばかりを求めてないから平気だよ。こうして会話をしていて楽しいのは、明らかにいまのシロだ」


「ありがとうございます」


「それで?」


「はい……迷宮創造主マスターであれば、各種魔物を撃破しながら、深淵の森中央部に侵攻。目標を殲滅し帰還は……可能です。食糧などの物資も、魔法鞄を所持してますので問題ありません。ね。いつでもどうぞ!」


「いや……そう、明るく言われると……」


「正直、深淵の森の情報は、ダンジョン本体より入手しておりますので、そこまでラグはございません。現状であれば、所用時間は三日程度……でしょうか。それに……何よりも、深淵の森中央部の魔素の濃いエリアですから……私も把握出来ていない錬金術素材……レア素材が手に入る可能性があります」


「行こう。というか、行ってきます」


 カンパルラ……ディーベルス様は未だ王都で頑張り中。多分、ドノバン様も。で、グロウス様も多分、王都で香辛料の販売中だ。グロウス様に渡したLEDランタンの魔道具はお披露目を含めて、もう少し後にしてもらった。

 現在、たった今、ディーベルス様とドノバン様が王都でプレゼンしてる最中だからね。王族に対して、一番最初に献上し、その有用性を認めてもらうという事実が流布された後……の方が、グロウス様の商売も箔が付くし、スムーズに行くということで、保留中だ。

 さらに、カンパルラの夜光システム自体はメンテフリーだから問題無い。何かあっても、シロが保全はしてくれる。


「私の耳目のメインですから。街灯は大切にメンテナンスさせていただきます」


 そういう自由というか、仕事を任せることも出来る様になっている時点でシロがもの凄く進化している。


 荷物は全て、魔法鞄に詰め込んである。


 あ。確認だ。


名前 村野久伸むらの ひさのぶ

種族 ハイエルフ


天職 魔術士

階位 57

体力 98 魔力 147


天職スキル:【平静】【魔術参】【魔増】【復唱】【輪唱】


=隠蔽=========

天職 迷宮創造主ダンジョンマスター

階位 35

体力 29 魔力 137


天職スキル:【迷宮】【結界】【鑑定】【倉庫】【収納】

【異界接続】【渡界資格】【言語理解】【次元扉】


習得スキル:

【気配】【剣術】【盾術】【受流】【反撃】【隠形】【加速】【棒術】【拳闘】【魔術】【手加減】【周辺視】

=隠蔽=========


 副職も、天職もレベルが1上がっている。あれか、緋の月の下部組織、山賊くんたちを排除したせいか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る