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「街灯、ランタン作戦を実施する前には……えーと。錬金術や魔術のレベルが非常に低い……というのの裏付けを取りたい、だったよな?」
「はい。御主人様からの情報ですと、ハッキリ判明したのは錬金術関連だけでしたので、魔術に関係する事象がどこまで劣化しているのかを確認するべく、今回の作戦を選択しました」
「まあ、正直、ディーベルス様の名前や施政能力を大きく宣伝したかったからね。ランタンばら撒きは有りだと思ったし」
「ですが……想定していたよりも、魔術全般……も劣化していますようで……。これなら、多分、街灯なんていう偽装をせず、 勝手に適当なアンテナを建ててしまっても、結界で防護さえしておけば、こちらの手の内を読まれる所か、分解解析されることすら不可能だったかと。もっとコスパの良い作戦を提案できたのではないかと思いまして」
そんなに?
「はい。薬師……劣化錬金術士は二名でしたが、魔術士はこの都市に五名です。全員天職も魔術士」
「少なっ」
「はい。少ないです。癒術士も二名。こちらの天職も癒術士。付与術士に至っては存在しません」
いやいやでもさ、魔術士って一人とんでもないのが居れば、脅威じゃない? 俺自分と同じ感じのヤツがいたら結構怖いけど。
「術士のレベルは3~4。初歩の初歩、自分の適性属性の【魔術・壱】を使用している段階です」
……なにそれ。もしも……魔術系の攻撃で攻め込まれたり、物理攻撃の効かない魔物とかが襲いかかってきたらどうするんつもりなんだろうか。
「そのための工夫は為されているようです。が……非力である事に間違いはありません」
いやーそうかー。やりたい放題だったってことか……。
「確かにそうなのですが……いえ、この都市の排水機構の【浄化】システムの様に、一部古の錬金術や魔術が、現在でも稼働している可能性は否めません。慎重に行動するのが大切かと思われます。が。今回はやり過ぎたかな……とも」
うーん。そうなんだけどさ。
「さっきも言った様に、ディーベルス様に上手いことリドリス家を巻き込んでもらう為の一助になればって感じだしね」
「今回の件、
「うーん。同時進行で色々……かな。あのさ、一気にドドーンと押しまくって、一体どうなってるんだ? って隙に、嫌な権力者から逃げられる様な地位に落ち着きたい。そしてその後も目立たないけど、それなりにイイ感じに稼ぎたい。そして、この世界で知り合った「良い人」の手助けをしたい。かな」
「さすが。欲張りですね……」
「そうだね。俺の作るポーションで多くの人を救えてしまうことが判ったからね……。そこはもう、絶対に、色々と巻き込まれる。作らないなんて選択肢は無しだ。だって楽しいんだもん。で、作って持ってたら、俺は必要な人に使ってしまう。犯罪者とか余程で無い限り、死にかけてるのを見捨てられるほど強くないよ。ほら。この世界で……生活しやすくしないとでしょう?」
「はい」
「下手すればさ、監禁されてポーション工場、ポーション奴隷みたいな扱いを受ける可能性も多々あるわけだし」
「ありますね。リドリス家の様な貴族は少ない様ですから」
そうか。やっぱりか。
「はい。これも今回の作戦の成果ですが、リドリス領周辺の領地の情報も入手しました」
ローレシア王国、東の果てがリドリス領。深淵の森に最も近いこの城砦都市は、深淵の森からあふれ出てくる魔物を食い止める役割を担っていた。
「ですが、ここ50年くらいは一度も大規模な
「これも低い……。やばくない?」
「はい。カンパルラは、領騎士団及び、冒険者の混成軍によって守られます。ここ最近発生している小規模の
「シロの見立てでは……そろそろ本格的にヤバいんだよね?」
「はい……その……あの……」
「なに」
「実は……
「……」
「するってぇと何かい? 俺がこの異世界に降り立ったことで、
「本来なら息抜きのように数年に一度は溢れていなければいけなかったモノが、残滓として蓄積されており……そこに以前と変わらないとはいえ、強力な力が加わることで、圧縮され、撒き散らかされるのかな……と。大丈夫です。一度二度溢れれば、その後は、これまでと同じ様に数年に一度のペースに安定するかと」
「それ全然大丈夫じゃないよね? 撒き散らかされる規模は……その……通常の何倍よ?」
「推定で……20~40倍の間……かと」
「うわ……」
はいはいはい! 先生!
「それ……耐えられる可能性は?」
「
ですよねー。
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