219:細菌除去剤
「キレン茸」:解熱に効果が高い茸らしい。これを使うと解熱剤が簡単に作れるようだ。何か体内に侵入した場合、拒絶反応を起こして発熱することが多い。つまり、様々な局面で使用出来ると。
「ホザル茸」:……これ……体内に発生した悪性物質を駆除する可能性があるみたいだ。悪性物質って、ガンとか……だよね。つまり、ガンの治療薬が? 作れちゃうってこと? 何をもって悪性とするかは、俺の気持ち、イメージ力次第……か。さすが不思議力。レシピによると、非常に稀少で入手しにくい……とある。……でも。持ってるなぁ……俺。結構沢山。無駄に。ダンジョンの森林エリアで収穫したけど、なんとなく外見的に怖いから使わずに【倉庫】に入れっぱなしになってた。うーん。保留。悪性物質除去剤か。作っておくのは作っておこう。
「オライ茸」:細菌系物質の除去が可能らしい。えっと……。これか。今回の御嬢様の症状……結核とか肺炎に効きそうな茸は。この茸を使って作れる細菌除去剤が……御嬢様の病気向けかな。多分。悪性物質除去よりは、稀少度が下がる感じかな。これもそんなに多くは無いが、【倉庫】に入っていた。良かった。これでわざわざ採りに行かなくても素材は確保出来た、と。
「シバレア」:根野菜。血液に関する病気に効果がある、増血剤が作成可能らしい。失血時にも有効。うーん。清らかな血液補充が必要な時に……ってことはアレかな、血液さらさら効果も期待出来る感じかな? 輸血とタマネギ? を併せ持った感じ? あ。こちらも非常に稀少で入手しにくい様だ。確かに。これはまだ見たこと無いな。
ここでも使用するのは「ホルベ草」だ。通常の体力回復薬とは違い、少量だけど、なんていうか、「ホザル茸」エキスと、「回復水」を混ぜる際に触媒としている感じ?
「ホザル茸」のエキスは、通常の熱蒸留で普通に精製出来た。
「初級細菌除去剤」
そして完成した。【錬成】万歳。
ってでも名前だけだと、細菌という細菌を死滅させてしまいそうだけど、その辺はご都合主義の権化、異世界不思議パワーが大活躍の様だ。自身の身体に都合の悪い菌を排除していくらしい。なぜなら、作る時に俺がそう願っているから。笑。すげーな。
どうせならこれも、中級を作りたいな……と思いながら丁寧に【錬成】すること、数回。
「中級細菌除去剤」
……こんな簡単にできるものなのか。
「……いえ。そんなわけがありません。初級と中級では……効果が大きく違いますし、値段も一桁以上違いますし……そもそも、低級用の素材で中級を作ってしまっているのが無茶ですし」
「でもさ、中級用の素材とか大抵、持っていないじゃない?」
そう。俺のダンジョンの森林エリアで採取出来るのはほぼ、初級のポーション用の素材ばかりなのだ。
「稀少になればなるほど、素材によって、育成場所が異なるのです」
「えーとそれは、中級以上の素材は、森林エリアみたいに一つのエリアに集中して生成していない、素材毎に点在しているってこと?」
「そうです」
シロはたまに変なタイミングでどや顔をする。
「中級の……そこそこ稀少な素材になると、最低でも20階層以降、さらに、素材毎の条件を満たした場所でしか育ちません。
「うん、判った。皆まで言うな」
俺が悪い。
「でもさ、真面目にさ、ダンジョンを建造する必要って……あまり無いよね……前にも話したけど」
「そうですね……現状だとそうなります」
「よし、では改めて。シロ、中級以上のポーションの素材を入手するにはどうするのが一番手早い?」
「本末転倒な気がしますが、素材の為に階層を深くし、エリアを構築しましょう。それが一番手っ取り早いです」
「外で探すんじゃ無く?」
「そうですね……素材を探して世界を旅するのは……それしか手が無ければ仕方有りません。というか、それが普通です。が、正直、お薦めできません。数カ月かけて移動して、少ない素材を集めて、また違う地へ向かう。地形効果の影響が大きいですから……例えば、火山地帯と、氷河地帯では凄まじく距離が離れています。時間が掛かりすぎます」
「空間転移能力者でも無い限り、厳しいか」
「はい。転移に関する魔道具は、全て神の手によるモノです。能力での発動は存在しません。唯一。
「まあ、ダンジョンとの一方通行だけどな。いつでも深淵の森に帰ってこれる……転移か」
「はい」
ということで、とりあえず、目的の物は完成した。これを飲んでもらって……あとは体力回復薬と精力回復薬で体調を整えて……かな。
基礎抵抗力を上げるためにも、レベルアップすると良いと思うんだけど。
「簡単では無い?」
「はい……
アレでしょ? パワーレベリングってやつでしょ? トドメを刺せって! いう。まあ……ちょっと強い敵になるとナイフとか刺さらないよな……。
「正直、不可能か……」
「はい」
アドバイスすればいいか。レベル上げた方がいいですよって。
貴族一族所属なんだから、それはそれで、勝手にやってもらおう。護衛雇って、弱めの魔物を引っ張ってきて。
御令嬢にはキツメの所業なのかもしれないけれど、最辺境で生きて行くという現実をちゃんと知ってないとだしね。あ。こういうのラノベとかで読んだことある。
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