188:眩しき異世界の光
「まずは、異世界の常識をお知りになった方が良いようです。大前提を御説明します」
シロは少女形態になっているものの、基本座らない。俺のいない時にリラックスしてるのかな?
「まず、
「え? そうなの……か。まあ、そうか。転職条件厳しいな」
「そもそも冒険者などの命を奪うダンジョン、その
「ずっとダンジョンで生活する……って感じで?」
「そうですね。剣や魔導の道を究めんとする者。生きることに飽きたハイエルフ。物を創る事から抜け出せぬドワーフ。既に半分魔物、半分ダンジョンシステムに食い込んでいるということなのかもしれません。転職なんていう、便利なモノもありませんし」
「そか。なんか聞いた覚えもあるんだけど、やはり俺用に創られたシステムなのね?」
「はい。なので、異世界人に出会っても、自分の天職については隠蔽するのが良いでしょう。異世界でのステータスは……どうされますか?」
「ん? えっと、どの職で異世界を旅するか? ってこと?」
「はい。こちらの世界には、天職が読み取れる魔道具、鑑定石が存在します。さらに、犯罪者を識別する、咎人の水晶という魔道具もありますが」
「その辺が個人識別に使用されていると」
「鑑定石で読み取れるのは【鑑定・壱】の情報のみです。つまり、名前と、天職名と階位。レベルですね。
「いろんなトラブルに巻き込まれるとか?」
「はい。高レベルの戦闘職は恐れられ、脅威として排除される事も多いと聞きます。そして高レベルの非戦闘職は、権力者に拘束される可能性が高く。拘束というか、囲い込みでしょうかね」
どっちもか。ああ~まあでも、それは現実世界でもよくあることだしな。でも俺にして見ればなんかやだな。
「そういうの、お嫌いですよね」
「うん」
鑑定石……のレベルをごまかせるスキルとかないのかな?
「私の知る限りでは、ございません」
「錬金術で作れないかな……」
「……御主人様なら可能かもしれません」
正直、異世界に降り立つ時の天職は、錬金術師でいいだろう。旅の錬金術師。いいね。旅先で自分の作ったアイテムを売る商人でもある感じで。ってそういう人がいるか判らないけど。
「早々いないと思いますが、あり得ないわけではありません。さらに言えば、他の天職で、職業は商人としている者も多いので問題無いかと」
まあ、そりゃそうか。鍛冶師だけどちゃんと商売している人もいるわな。
「ああ……そうですね……正直、まずは様子見した方がいいかもしれませんね……。現在の情報を入手しなければ……」
「お。なら、行ってみる? 多少のDP消費は仕方ない、俺が出たら入口は閉じて良いよ。今回は特別って事で」
「はい。ならば問題ありません」
ダンジョンもどうせなら、イイ感じに作りたいしなー。最初から長大、広大なクリアしきれない「永遠の迷宮」とか「深淵の迷宮」とかにしたいし。
「……」
まあ、うん。それは後回しで~。
「御主人様が行動した範囲に応じて、異世界情報が更新される様になっております。さらに、異世界の人間と接触するとボーナスチャンスです。入手出来る情報量が段違いですから」
「ボーナスチャンスて」
「では。一時的に入り口を開きます。行って……」
「ちょい待ち。取りあえず、魔術士に転職しておくよ。魔物、いるんでしょ?」
「あ。そうですね。申し訳ありません。万が一もありますし」
あれ? というか。ダンジョンって何処にあるの? 知ってる?
「はい。人族と魔族の境界線となる、パルラの森に配置されているかと。ちなみに……パルラの森は「深淵の森」と呼ばれております」
「な! 深淵の森! なら、うちのは「深淵の迷宮」で決まりじゃん!」
「はいはい。行ってらっしゃいませ」
瞬間。
「眩し……」
巨木列なる森の只中。若干開けた広場の様な日溜まり。背後を見ると俺の身長ほどの穴が開いていた。向こうに見えるのは白い司令室。
「では、閉じます。探索お願いいたします。多分ですが、迷宮周辺かなりの距離まで、私と念話が通じるかと思われます。出来ればその通信有効距離をお調べいただけるとさらに、嬉しいです」
「迷ったら?」
「念話が通じていれば方向を指示できますし、念話が通じなくても、
そうなのか。
「そうなのです。とはいえ、今回は、迷宮周辺からあまり離れない方がよろしいかと」
「そうだね。そうするよ」
服装は過去にプレゼントでもらった、冒険者の服に冒険者の靴。これなら異世界でもおかしくない(ハズ)。
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