180:短期早成

迷宮創造主マスター……一度ダンジョンに出て、戻ってきていただけますか?」


「お。うん。了解」


 思い切り集中してたら、いつの間にか時間が経過していた。素材が切れない限り、止まらないというか。戦闘だけじゃ無くて、こういう繰り返しも好きなんだな……俺。


 工場勤務とか向いてた? いや、創意工夫が無いとダメか。今は、同じモノを一定に、じゃなくて、より良いモノが出来ないか? で集中してたもんな。


----レベルアップ----


 錬金術師のレベルがアップしました。スキル【錬金術・弐】を習得しました。


「錬金術師のレベルが16になりました。さすがです。魔術の応用等で一気に経験値を稼いだ様です。普通……こんな簡単にレベルは上がらないモノなのですが」


名前 村野久伸むらの ひさのぶ

種族 ハイエルフ


天職 錬金術士

階位 16

体力 92 魔力 126


天職スキル:【錬金術の知識】【練成】【錬金術・弐】


=隠蔽=========

天職 迷宮創造主ダンジョンマスター

階位 31

体力 28 魔力 121 


天職スキル:【迷宮】【結界】【鑑定】【倉庫】【収納】

【異界接続】【渡界資格】【言語理解】【次元扉】


習得スキル:

【気配】【剣術】【盾術】【受流】【反撃】【隠形】【加速】【棒術】【拳闘】【魔術】【手加減】

=隠蔽=========


 おお……スゴイな。確かに【錬金術の知識】も、ポーシ

ョンを百本でレベル1。数え切れないほど作ってやっとレベル10になれるとか教えてくれていたのに。


 さて【錬金術・弐】となって、レシピが増えた。


 えーと。


火種棒、清浄棒、水袋、灯光台、魔除け符、痺れ粉、各種下級ポーション


 旅の携帯便利グッズって感じかしら。でも、これ、応用すれば結構イロイロ作れるよなぁ……。


 携帯コンロとか、携帯用のシンクとか。清浄棒は……ほほう……「清浄」の術が使えると。全身に使うには魔力効率が悪いが、排泄時に重宝されている。携帯用のウォシュレットみたいな感じか。


 魔除け符、痺れ粉は名前の通りかな。


 あれ?


「シロ、これさ、毒のレシピ……抜けてる?」


「さすが、迷宮創造主マスターです。もう気付きましたか。毒や硬化、石化、減衰等のイメージの悪い効果のアイテムは、このレシピから意図的に抜かれているようです」


「痺れ粉はあるのに?」


「はい。これはレシピのデータを収集した際の世界……いえ、使徒の属する集団……国家や宗教組織から収集したデータになります。つまり、非常に恣意的に偏ったモノが含まれる可能性があります」


「そうなの?」


「はい。本来であれば、これらのレシピは、ギルドや職人集団に所属し、徒弟制度の元、師匠や先達に教えてもらうモノです。ですが、迷宮創造主マスターにはその環境がありませんので、こうしてサポートが入っております」


 あ~これも女神のやさしさ成分ってヤツだ。


「ありがたいねぇ……」


「なのですが、一つ懸念が。吸い上げたままのデータですので、今回の様に組織の事情で隠蔽されたモノや、間違ったモノもそのまま登録されていますし、何よりも……現状とは……合っていない可能性があります」


「合って無い?」


「はい。実はこのレシピは、今から二百年以上前に収集されておりまして……」


「時代遅れな可能性もあるって感じ?」


「ええ。非常に。さらに、現在聞いてみたら、あっさりと毒のレシピが公開されている……なんてことも有り得ます」


「……それは……うん、まあでも、しょうがないよ。現在最新情報にデータ更新する……って出来ないんでしょう?」


「はい。女神は現在休眠中であり、起きたとしても非常に衰弱していると思ってください。必須事項が多すぎて、こちらに神力を使う余裕がありません。


 なら仕方ない。というか、ワザワザ、これを引っ張り出してきてくれただけでもありがたいと思おう。


「っていうかさ、俺が考案した「微塵」で素材の微粉末化するっていうスゴ技も、既に気付かれているかもしれない?」


「いえ、それは無理です」


 あ、そうなんだ。


「まあ、んじゃ、とりあえず、素材がふんだんにあるポーションを作るぞー」


 正直、ポーション以外の魔道具を作るには、素材が足りない。街周辺の浅い森で手に入るみたいだけど、うちの森(迷宮森)では見あたらなかったのだ。


 なんか、上手いことブロックを組み合わせて、違う日当たりの森とか雑木林? を構成し直せば、素材は手に入るかもしれないが、そこまでする必要は無いだろう。


 なぜなら、俺にはポーションの素材があるから。


 これまで通り、「微塵」を使用してポーションを作成していく。


「中級回復薬が続々と作られているわけですが。これさ、中級回復薬のレシピが教えてもらえるまで、問題無く経験値稼げるよね?」


「はい。稼げるハズです」


 お墨付きを貰って、さらに一時間程度作り続けた。


「そろそろ、また、ダンジョン行ってこようか」


「はい、お願いします」


----レベルアップ----


 錬金術師のレベルがアップしました。スキル【錬金術・参】を習得しました。


「錬金術師のレベルが27になりました……。正直、迷宮創造主マスターの特殊性に驚愕状態です」


「うん、俺もちょっとビビってる。正直、これじゃ錬金術師を名乗れないと思う。ポーションしか作って無いし、なのにそんなに数作って無いし。典型的なパワーレベリング状態だなぁ」


「その……レベルに関係している経験値システムには、ダンジョンエリア作成時に表示される、各種ボーナス要素が適用されています」


階層ボーナス:迷路化レベル1

階層ボーナス:部屋⇔通路レベル1

階層ボーナス:迷宮構造構築

階層ボーナス:階層ボス配置

階層ボーナス:コンセプトレベル3

階層ボーナス:芸術レベル1


結果

階層ボーナスとして経験値増加

ドロップアイテム増加

ドロップアイテム品質向上

が発動


 なんてヤツね?


「はい。これのコンセプトレベルや芸術レベル……のポイント診断方法は、迷宮創造主マスターの世界のAIの様なシステムが判断しています。それが、この錬金術師のレベルアップにも関係している様です。でなければ、ここまでのレベルアップは……」


 アレかな……成果主義なのかな。


「過程はともかく、成果が上がると経験値が多くなる感じなのかな……仕上がってるクオリティが高いから、数は少なくとも経験値を貰えるっていう」


「そう……かもしれません。つまり、錬金術で作成できる魔道具で良いモノを作れば作るほど、取得経験値が高くなり、レベルも上がりやすくなると……」


 ってなら、中級回復薬でまだまだ経験値が稼げちゃう? ひゃっほー!


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