163:レベル29でプレゼント?

 んで? レベル29なんていうとんでもない中途半端なレベルなのに、プレゼント? どういうこと? 


「いらないなら、返却するのよぅ」


「いるよ。というか、返却できるの?」


「できないのよぅ」


 いつもの通り、大テーブルの上にアイテムが出現していた。レベル10、レベル20と続いて順調に貰える品数が少なくなっている気がする。その分、レアリティは上がってるか。

 

「解体のナイフ」


「反射の盾」


「繰継ぎの弓」


「回復の箙」


「帳の外套」


「魔法鞄」


「刻印・周辺視」


 !……な、なんか、聞いたことがある……というか、定番というか、ワクワク級のアイテムが……見えたんだけど。まあ、いい。じゅ、順番に見ていこうか。


 まずは【鑑定】だな。大した情報は見れないけど。


「解体のナイフ」:狩った獲物解体するためのナイフ。


「反射の盾」:受けた攻撃を反射する可能性のある盾。


「繰継ぎの弓」:素早く連射可能な弓。


「回復の箙」:時間経過で入れてある矢が増える箙。


「帳の外套」:闇色の外套。身隠し、防刃、防術効果有り。


「魔法鞄」:魔法によって拡張された肩掛け鞄。


「刻印・周辺視」:スキル【周辺視】が刻印される。


 キター! 名前による期待そのまま。ま、魔法鞄マジックバッグキター! 結構普通の、革の肩掛け鞄なんだけど。焦げ茶の。ま、まあ、検証とかは後回しだ。


「解体のナイフ」は普通の……ナイフ、だ。というか、DPで購入出来るナイフに「解体ナイフ」っていうのがあったな。まあ、こちらは「の」が入ってるから別モノ……なんだろうけど。


「反射の盾」は名前通りだとすれば、敵の攻撃を反射する……のかな。自動で攻撃を跳ね返す、オートバッシュ? かな? その辺判らないな。


「繰継ぎの弓」は【鑑定】通りか。矢を放つ行動が早くなる効果が付与されてる感じかな。


「回復の箙」は中々の魔法のアイテムだな~。ポケットの中のビスケットが増えちゃうのノリで、矢を入れておけば、増えちゃう様だ。つまり無限に射てる? これさえあれば、矢切れが無くなる?


「帳の外套」、夜の帳色……って暗色、黒色の外套だ。マントとコートの中間というか。身隠し、防刃、防術の効果があるってだけでかなり貴重な装備だと思う。


 そして。こいつは……。


「魔法鞄」は思っていた通りの仕上がりだ! 【鑑定】によれば「魔法によって拡張された肩掛け鞄」。拡張! こりゃスゴイ。


 ということで、【倉庫】に突っ込んであった赤鋼の鎧一式をを取り出す。


 で。とりあえず……「赤鋼の腕鎧」の右腕部分を持って、鞄の入れ口に近づけ、入れようとした瞬間。


「おお! 消えた!」


 どう考えても肩掛け鞄よりもかさばる大きさの「腕鎧」の右腕が、消え失せたのだ。


 と、取り出せる……のかな?


 鞄の中に手を入れてみる。無い。何も無い……。手探りでは取り出せないってことか。

 さっきの「腕鎧」右腕……と思った瞬間、何となく取り出せそうな予感が! 取り出す! と明確に思いながら鞄から手を抜くと、その手が「腕鎧」を掴んでいた。


「おおー」


 口から感嘆が漏れてしまう。なんだ、この不思議感覚。これがファンタジー界では超絶有名な定番マジックアイテムなのか! なんか、感動しちゃうな。


 何度か試してみて判ったのは。


・「鞄に入れたいアイテム」を持って、「入れる」と思いながら鞄に入れようとすると入る。鞄に手を突っ込み、「取り出そう」と思いながら手を出すと、そのアイテムを手が掴んでいる。

例:明らかに肩掛け鞄の入れ口よりも大きい、「赤鋼の鎧」がすんなり入る。取り出せる。


・鞄に手を入れて「何が入ってたかな?」と考えると、現在入っているアイテムのリストが思い浮かぶ。


・持ち上がらない重いモノや大きいモノに、触れて「入れる」と思いながら鞄の入れ口を近づけるとそれが収納される。椅子や会議机もバッチリ入った。


 で、大きさは関係ない……となると、許容限界の設定は、体積ではなく、重さの可能性が高い。問題は「どれくらい入れられるのか?」だ。


 レベル29の迷宮創造主ダンジョンマスター現在。【倉庫】スキルの容量は現在約1t。すげぇ……。超絶成長している。ダンジョン内でしか使えないけれど。個人用のクローゼット、パントリーってヤツだな。

 

 で、そこに600㎏のお米、100㎏の小麦、砂糖、塩50㎏ずつ。その他調味料各種が収まっている(実はこの辺は現在も、怪しまれない程度にちょっとずつ、買い足している。居住区の隅に積み重ねてある)。合計で約800㎏。つい最近まで……確か迷宮創造主ダンジョンマスターレベル25の時点では最大容量が800㎏までだったのだ。


 米は30㎏、小麦は25㎏単位で袋詰めになっている。非常に分かりやすいので、【倉庫】から取り出したのを次々と魔法鞄に詰め込んでいく。


 結論として。


 この魔法鞄は10tまでの荷物を入れられる様だ。す、すげぇ……10tですよ? 10トン。小型のトラックや大型のバンの積載量が2tでしょ? すげぇ。

 学生時代に友だちの引っ越しを手伝った時、独り暮らしの家財一式が2tのバン一台で余裕だった記憶がある。つまり、引っ越し業者とかすれば超大儲け? ってこと?


 あ。


「シロ……この魔法鞄、持ち出せ……」


「ないのよぅ」


「ですよね」


 やっぱり。そうかー。【倉庫】と同じ扱い……かぁ。ま、まあでも、うん。【倉庫】の容量が増えたと思えば。うん。


「シロ、この魔法鞄、鞄内の時間経過は?」


「無いのよぅ。高級品なのよぅ」


 おおー。というか、丸々【倉庫】と一緒な! な!

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